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日本を震撼させた「昭和の未解決事件」と旧統一教会の関係。有田芳生氏らが語る

旧統一協会「当法人の関与はございません」

赤報隊事件

現在、話題となっている漫画家・小林よしのり氏との共著『統一協会問題の闇 国家を蝕んでいたカルトの正体』(扶桑社)

 今回、国会で取り上げられた赤報隊事件への関与について、統一教会に質問書を送ると「当法人の関与はございません」との返答があった。一方、有田氏は宮本議員の国会質問をこう受け止める。 「宮本議員は、統一教会が事件に関与していた可能性を国会で質問することで、教団の本質を国民に知らしめようとしていたのでしょう。昨年、安倍元首相が銃撃されて以降、教団について盛んに報じられるようになり、現在も2世信者の問題や教団に対する解散命令の見通しが報道されています。  だが、これらは教団の断面の一つにすぎず、本質はまったく報道されていない。実は、昨年8月に日本テレビの情報番組『スッキリ』で、『霊感商法をやってきた反社会的集団だと警察庁も認めている』と発言したら、教団から名誉毀損で訴えられました。  するとテレビのオファーは一切なくなり、大手メディアで発言する機会を奪われてしまった……。教団の本質を発信する場を探していたところ、漫画家の小林よしのりさんと、統一教会をテーマにした共著を出さないかと声がかかったのです」  有田氏は3月に上梓した『統一協会問題の闇 国家を蝕んでいたカルトの正体』(扶桑社)のなかで、教団を巡る多くの問題を丹念に振り返り、これまでメディアが報じてこなかった「新事実」をいくつも提示している。 「『オウムの次は統一協会だ』。1990年代半ば、公安の最高幹部の一人はそう私に教えてくれました。当時、公安が統一教会をマークしていたのは間違いありません。だが、オウムの事件がひと段落ついても、統一教会に対する捜査はついに行われなかった。実は、それから10年が経った2005年にこの幹部に会ったとき、『(この10年間)何もありませんでした。今だから話せることを教えてください』と質したら、彼は『政治の力があった……』とだけ言って、それ以上何も語りませんでした」  なぜ捜査にブレーキがかかったのか? 待ったをかけたのは誰なのか? そして、そもそも統一協会は一体何を目指していたのか? 疑惑は疑惑のまま闇に葬られ、その後、統一協会はいくつのも訴訟を抱えていたにもかかわらず、いつの間にか「世界平和統一家庭連合」と名前を変え、何事もなかったかのように国家権力の中枢に近づいていく。  日本を震撼させた「昭和の未解決事件」は時効を迎えているため再捜査の道が開かれることはない。だが、安倍元首相銃撃事件を機に噴き出した統一協会を巡る多くの疑惑を解明することなしに、この国を前に進めることはできないはずだ。 【有田芳生氏】 1952年生まれ。ジャーナリスト、前参院議員。’86年、『朝日ジャーナル』(朝日新聞社)で霊感商法追及キャンペーンに参加。以降、『週刊文春』(文藝春秋)などで統一教会問題を取材する。近著に漫画家・小林よしのり氏との共著『統一協会問題の闇 国家を蝕んでいたカルトの正体』(扶桑社) 【樋田毅氏】 1952年生まれ。ジャーナリスト。朝日新聞大阪社会部を経て、地域報道部・社会部次長などを歴任。著書に『記者襲撃 赤報隊事件30年目の真実』(岩波書店)など。2022年5月、『彼は早稲田で死んだ 大学構内リンチ殺人事件の永遠』(文藝春秋)で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞 取材・文/齊藤武宏 山本和幸 取材/山﨑 元(本誌) 撮影/浅野将司 写真/時事通信社 AFP=時事
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統一協会問題の闇 国家を蝕んでいたカルトの正体

ジャーナリストが語る「空白の30年」の全真相!

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