バイデン政権とSNSの接触禁止 地裁命令が波紋
産経ニュース / 2023年7月6日 16時28分
【ワシントン=大内清】米国の裁判所がバイデン政権に対し、交流サイト(SNS)への投稿内容に関する規制を運営会社に促すなどするのは憲法が保障する「言論の自由」の侵害に当たる恐れがあるとして、SNS各社との接触を禁じる差し止め命令を下し、波紋を広げている。SNSでの誤情報の拡散や敵対国による「トロール(荒らし)」行為が民主主義への脅威としてクローズアップされる中、バイデン政権は対策の手足を縛られた格好だ。
差し止めは4日付。共和党が優勢な中西部ミズーリと南部ルイジアナ両州の司法長官(いずれも共和党)らの訴えを受け同州連邦地裁のダウティ判事が命じた。判事は2018年にトランプ前大統領の指名を受け任命された人物。
共和党側は、バイデン政権と大手SNS各社が、新型コロナウイルスのワクチン忌避や、トランプ氏が敗れた20年大統領選に関する投稿の排除を進め、言論の自由を抑圧していると主張。判事は、国家安全保障に関連する場合などを除き、保健衛生やサイバーセキュリティーに関わる政府機関や法執行機関がSNS各社と連絡することを禁じた。判決確定まで効力は維持されるとしている。
ホワイトハウスのジャンピエール大統領報道官は5日の記者会見で、司法省が対応を検討中だとした上で、差し止めに「反対する」と述べた。
米国では共和党の支持基盤である保守層を中心に、政府がコロナワクチンの接種を通じて市民を支配しようとしていると考えたり、20年大統領選で大規模な不正があったとするトランプ氏の言い分に同調したりする人が多い。フェイスブックやツイッターなど大手の規制を嫌い、「完全自由」をうたう新興SNSに乗り換えるケースも多い。共和党側には今回の訴えなどを通じて、バイデン政権が巨大IT企業と結託してSNSを統制していると印象付ける狙いがある。
一方、陰謀論的な反ワクチン論や根拠のない不正主張の拡散などを野放しにすることは、SNSの健全性を損なうことにつながる。選挙システムの信頼性を傷つけるためにロシアなどが仕掛けるトロール行為も横行していると指摘される中、SNSでの「自由」と「規制」のバランスは民主国家にとり重大な課題だ。米政府は、バイデン政権以前からSNS各社と協議の場を設けるなどしてきたが、差し止め命令で見直しを迫られる可能性がある。
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