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ほのぼの日常オンライン ~ほのぼのするとは言ってない~ 作者:龍華ぷろじぇくと
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18.夜の学園

 結局ユウもすぐにログアウトしてしまった。

 自分一人になったので、ハナコさんと共に夜の小学校へとやって来る。

 放課後の部活に関してはユウが一緒の時の方がいいだろうし、今回は見回るの止めておいたよ。

 今回は夕方からではなく見回りの先生が居なくなった幽霊だらけの小学校である。


「ちなみに、見回りの先生ってこの時間何してんの?」


「宿直室に居る筈よ。確かあそこだけは霊障がなかったはず。シャワーとかお風呂も付いてるしキッチンあるし寝床も完備、とかタマモが言ってたわね」


 と、いうことらしい。

 つまり宿直室に行ってしまうと宿直の先生と鉢合わせることになるので外に強制的に送り出されるかもしれない。

 宿直室には行かないようにしないとな。


「そういえば、小学校の七不思議は見てなかったなぁ」


「私のこと探してたのに他の不思議は知らないの?」


「ハナコさんしか見てなかったんだよ」


 しまったな。できれば七不思議遭遇しに行きたかったけど、これは失態だぞ。

 ハナコさん、他の七不思議って何処にあるか……ハナコさん? 顔、赤くないですか?


「な、なんでもないってばっ。そ、それよりヒロキ、七不思議知らないんだったらとりあえずテケテケから回ってみましょ。廊下ならどこでも出会うはずだから」


 どこでも、というか回遊型のボス幽霊だそうだ。

 ハナコさんが言うには、自分の持ち周りであるトイレの近くなどをケケケケケケと笑いながら駆けまわってるそうだ。


「どうせだし、聞いてみようか? せっかく来たのに分からないんじゃどうしようもないでしょ?」


「んー、まぁそうだけど一度ログアウトした後に調べて来るよ。とりあえず今日はボス戦は無しで、夜の学校移動するだけでも十分、というかテケテケと出会った時点で詰むと思うし」


「それは……確かにそうかも?」


 塩は結構持って来たけど、ハナコさんメインの戦闘になるだろうな。

 俺の攻撃なんてどう考えても殆どダメージにならないだろうし。

 ここの推奨レベル10だろ。俺まだ2だし。弱過ぎるっての。


 夜の学校に入る。

 正面玄関から入ると、下足場に佇むバーコードハゲのおっさんが一人。

 妙に透明で俯き加減。ぶつぶつと何かを喋っているのが見えるが、声は聞こえない。


「浮遊霊ね」


「先生の幽霊かな?」


 早速のバトルスタート。

 

「鬼火」


 ハナコさんの掌に産まれる青い炎が玉状になって飛んで行く。

 浮遊霊は避けることもせずその場から動かず直撃。

 あ、レベル上がった。しかも2つも!?


「敵のレベルが高いから一気に上がったのね。アイテムが落ちたわ。取りに行きましょ」


「こんな簡単に良いんだろうか? えーっと、お金と経験値と、何これ?」


「霊子の欠片ね。使うと霊力が回復するわよ。ちょっとだけだけど。むしろ練金術とかで霊玉とかにしてしまった方が効率がいいと思うわよ」


 なるほど、後々いろいろ必要になるけど今は霊力が微量に回復するだけの素材か。


「ほら、ぼさっとしてないで進みましょ」


「それもそうだな。えーっととりあえずハナコさんの居たトイレまで行ってみようか」


「そうね、とりあえずNPCの私に会ってみましょうか?」


 え? 会うの!? それって戦うってことなのでは?


「……ケケ」

 

 ん? ハナコさん? 今変な声で笑った?


「あら、幽霊みっけ。鬼火っ」


 ハナコさんは初の自由な夜の学校でテンションが上がってるのかもしれない。周囲を見回して幽霊を見付けては鬼火を投げて倒しまくっている。

 一人はしゃぐハナコさん可愛い。そして勝手に上がる俺のレベル、なんか申し訳ない。


「あははっ、なんかこれ楽しいっ。なんで私トイレの外でなかったのかな。幽霊見付けて倒すの癖になりそう」


 なんでだよ!?

 あれ、俺ってもしかしてハナコさんに変な趣味植え付けちゃった?

 だ、大丈夫だよな? タマモとか運営様に厳重注意とかされないよな?


「ケケケ」


 んもぅ、ハナコさんその笑い声はなんな……あれ? ハナコさんはあそこでアイテム収拾してる?

 じゃあすぐ隣から聞こえた笑い声は……

 はっと隣に視線を向ける。

 そこには誰もいなかった。

 いや、違う。下だ!


 ばっと下に視線を向けて一歩左に飛び退くと、そこには黒髪の高校生くらいの女学生。

 ただし、下半身は存在せず、両手で体を支えて立っていた。

 俺が気付いた事に気付き、彼女は顔をこちらに向ける。

 髪がはらりと顔から離れ、目が黒く窪んだ少女が……嗤った。


「う……ぎゃああああああああああああああああ――――っ!?」


 思わず悲鳴を上げて尻もちを付く。

 逃げるとかの段階じゃ無かった、すぐ傍に居たその悪霊に驚き過ぎて腰が抜けたのだ。


「ケケ?」


「ちょっとぉ!? なんでそっちでボス戦始めようとしてるのよヒロキ! 私も混ぜなさい」


「ケケケ……えぇ!? ハナコ!? なんで!?」


「テケテケが相手なら遠慮はいらないわね。鬼火ッ」


「ッ!?」


 ちょ、待ってハナコさん、それ、射線状に俺、いちゃいますっ!?

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