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ほのぼの日常オンライン ~ほのぼのするとは言ってない~ 作者:龍華ぷろじぇくと
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16.罪と罰

「カツアゲすげぇな。俺ら一気に小金持ちだぜ?」


「ホント美味しいわね。もう数万円位手に入れとこうかしら?」


「つか、あいつどっか逃げちまったけど、どーする?」


「既にお金貰った後だし、別にどうでもいいだろ」


 どうでも良くないし、絶対なんか戻って来るだろ。ゴクドーか警察引きつれて。

 その時、巻き添えを喰らいたくないので俺はそっと距離を取る。

 えーっと、とりあえずあの辺りに避難っと。


 古本屋があったので不自然にならない感じに退避して、そのまま店内へ。

 おっと意外となんか良い感じの場所だな。掘り出し物とかありそうだ。

 なんかヤバそうな本とかないだろうか? 金がないから今は買えないけど……


「オイ、なぁに逃げてんだァ?」


 ひぃっ!?

 唐突に首にどすっと何かが巻き付く。

 なんだ、と思えばユウが右腕を左から首の乗せて右肩にひっかけくっついて来ていた。

 よく仲の良いダチや気の弱いカモが逃げないように自分の身体で固定してしまう、肩を抱くという行為。


 威圧を感じて思わずひぃっと声が出た。

 横を見れば意地の悪い顔でしししっと笑うユウの顔。ソバカス付きだけどなんか可愛らしくてドキッとしてしまった。

 アバターは女の子だけどこいつ男らしいからな。しかも不良やってたヤバい人。道を間違うには危険すぎる相手だ。

 それに俺にはハナコさんがいるんだし。


「つかなんで古本屋?」


「折角だから何かスキルとか付くような物ないかなと思って」


「スキル? 古本屋で手に入るのか?」


「ほら、ゲームとかだとスキルスクロールとか本を読むと魔法を覚えるとかあるじゃん」


「あー、すまん、これ以外のゲームってあーしやんねーんだわ」


 それは例えが悪かった。

 えーっとどう説明したもんか。

 とりあえずカウンターで船漕いでるお爺さんに聞いてみるか。


「爺さんちょっといーか?」


「ほっ?」


 鼻ちょうちんが出ていたお爺さんは声に驚き眠りから目覚める。


「はい、会計かい?」


「いや、金がねーから買うものは無いんだけどさ、とりあえず本屋の説明聞きたいと思ってさ」


「はぁ? 母屋の屁詰め入れ嗅ぎたい? 随分と特殊な趣味じゃのぅ」


「本屋の説明ッ、誰が屁の入ったものなんざ嗅ぎたいかっ」


「あー、はいはい、本屋の説明ね。本屋はのぅ……」


 と、説明を始めようとした次の瞬間、お爺さんは眠りの世界に旅立った。


「なんでさっ!?」


「ぶはっ。このじーさんマジパネェ。あーしリスペクトするしっ」


 わざわざスマホで写メ取んな。

 あれ? っていうかなぜスマホ?


「スマホ持ってんの?」


「ん? あー、課金要素だけど、100円で安いぞ? 旧世代のスマホが使えるってのが売りでさ、なんと通話もできるらしい」


「100円かよ。それはそれでちょっと欲しいな」


『あ、ちょっとヒロキ、本屋についてならオプションのヘルプに書いてあるわよ』


「え? あ、ホントだ。あー、やっぱり本読むとスキル覚えられるみたいだ」


「へー。んじゃあーしもなんか買うか」


「えっと、金あるの? 俺はもうないんだけど」


「え? さっき手に入ったっしょ。三分割したけど本二冊位は買えるし。折角だから一冊奢ってやんよ」


 それはなんか悪い気が……とりあえず何も要らないといったら恐らくあーしが奢ってやるっつってんだろ、買えやッ! とかキレるんだ。だから出来るだけ安い奴を……


『うっわ、なんか凄い禍々しいのが……』


「え? あ、これ?」


「ん、それでいーのか」


 え? 待って違……


「んじゃーあーしはこれにしよっと。爺さん会計……って寝たままだな。自分でやるか」


 律儀ッ!?


「っし、レシート出て来た。っつかレジの金取り放題なんだが、大丈夫かこの爺さん。さすがにこの店から巻き上げると可哀想だからやんねーけどよ」


 爺さん良かったな。他の二人が一緒だったら恐らくこの金全部無くなってたところだぜ。


「んじゃ、そろそろ帰ろうぜ」


「そうだね。結局何買ったの?」


 禍々しい本を受け取りがてら、ユウが買った本を見る。


「女性コーデだな。こういうのなかなか買えねぇからさ。一応アバター女だしコーデの仕方知っといた方がいいだろ?」


 いや、男じゃん、女っぽくなってどうすんのさ。現実世界でも女装とかし始めちゃう気か?


「あいつらですっ!」


 ん?

 古本屋を出ようとした俺は聞こえた声に思わずユウの手をひっぱっていた。


「なんっ!?」


 二人、物陰に潜んで道路を見る。

 そこには、丁度ヨシキとヒバリが暇そうに話し合っていた所だった。

 そんな二人を指差したのは、彼等にカツアゲされた中学生。

 そして、彼が連れて来たのは。青い帽子に青い服の男二人。

 手には警棒と手錠。腰には拳銃。はい、警察官入りましたーっ。

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