112話 答え合わせ、次の町へ行こう
個人的にはどっちでも変わらんけども。削除だとまた何かあったときに来てもらう破目になるから封印が安定か? それでどうでしょうか?
「うーん。それも難しいんだよね。思考に穴を空けちゃうことになるからさあ。だから誰にも言えないようにロックを掛けるのが主流かな」
ほう、そんな事でいいんだ。てことは亜神を作り出すことが目的と。その辺で思考が飛んだからな。
「そう言う事だね。亜神、いい表現だと思うけど、実際は小神を作り出すことかな。僕らを中神と置けばそのままの通りだよ」
ああ、そう言う事ね。とりあえず神様を増やしたかった訳だ。……大神が引き上げたのが中神という事で合っているかな?
「そうそう。その通りだよ。僕らも昔はこの星で暮らしてたからね」
なる程。中神も新たに産まれる可能性はあると。そして小神を作る……神に成れる魂を作ると考えてもいいんでしょうか?
「その通り。神に成れる魂を作るための星さ。小神には担当の世界に行ってもらうからね。そこで研鑽して中神に、そして大神になるまで成長して欲しいのさ」
へー、この世界の管理とはまた違うんだ。何の神か選べるの?
「選べないよ。これは小神になってみないと解らないんだよ。何を司る神になるのかは魂が決める事さ。自由意志じゃ無いんだよ」
……混沌の神様は何故に混沌になったのか。
「それは勿論、僕が平穏を望んで居なかったからだよ。僕の職業は神官帝だったからね。神官として、平和を祈るところを争いが産まれる様に願っていたからさ」
……それは邪教では?
「さあ? でもおかげでスキルはもの凄く早く成長したよ。スキルを神まで持っていった神って中々居ないんだから」
ん? じゃあ俺はもう小神に成れるんじゃ無いの? 神のスキルはあるよ?
「あー、まあここまで知ってたら全部知ってても一緒か。スキルを神まで持っていくのはその職業に対応したスキルでないといけないんだよ。先天的に持ってるものでもいけないし、系統外のスキルでもいけないんだ。あ、強欲に対応したスキルは無いから」
マジかよ。スキル上げは意味無いのか。じゃあレベルは無理だからステータスで何とか小神レベルに達しないといけないのか。
「レベルでも無理じゃないよ? 今でもレベルでは偶に居るしね。レベルは1万まで上げれば到達点だよ。ステータスはちょっと特殊でALL11桁に達するか、1つのステータスが12桁に達した時点で小神になる権利を貰えるよ」
ALL11桁か12桁ね。まあ無難にいけばALL11桁なんだろうけど。Sランク迷宮を周回する羽目になるのか。……あれ? そう言えば嫉妬さんってレベルが100万まで行ったんじゃ無かったっけ?
「よく覚えてるね。そうだよ。その位まで上げたよ。彼女はね。別に直ぐに小神にならなくてもいいんだもん。自分の為したいことを為した後に小神になればいいんだから。別に寿命まで生きてくれてもいいんだよ? 死んだ後に小神にするから」
ああ、そう言う事。……で? 小神に成れる魂になったら何か特典が無いの?
「あるよ。自分の好きなスキルを1つ作らせてあげる。それの最大レベルで渡すから、何に使ってもいいよ。彼女の時は豊穣神Lv10だったかな。国を豊かにしたかったらしいから」
ふーん。そう。ならカルマ値を見れるスキルを要求しようかな? カルマ値ってあるのか知らんけども。
「あるよ。既にそのスキルは実装済みだね。だから新しいスキルでは無いけど、特典で付けることは可能だよ」
ほう。既にあると。過去にも居たんだ。こんなスキルを望んだ人が。
「君にも教えたでしょ? 傲慢を倒した憤怒の人だよ。悪い貴族と良い貴族との区別が付かないからってそれを見るスキルを作ったんだよ。魂魄眼ってスキルだよ。あの制度に則らないスキルだけど」
ああ、あの。……じゃあ怠惰のあの人も小神になってるのか?
「そうだよ? 別に悪人だからって差別はしないからね。悪神も必要だし。それに必ずしも悪神になるとは限らないしね。魂で決まるからさ。生前の行いで大分左右されるとは言え」
という事は、過去に強欲で小神になった人も居る訳だよな?
「そうでもないよ? そこまで強さを求めたわけでも無かったから普通に探索者として終わった人もいるというか、強欲ではまだ誰も小神にはなってないよ」
あれ? てっきり最強系を目指す人の職業だと思っていたんだけど、違うんだ。
「まあねえ。強いことは強いけど、ある程度生活出来るようになったらそれで満足した人も沢山要るんだよ。強欲を選んでおいてね」
欲がそこまでじゃ無かったわけだ。……となるとALL11桁に行けば最強と言えなくも無いのかな?
「ステータスでは最強だよ。過去にステータスでそこまで行ったのは僕が作った主人公位じゃない? 例があるのってその位だよ? 後は順当にレベルを上げるか、スキルを伸ばすかしないと無理なんだよ」
ああ、主人公は馬鹿みたいに強くなるのね。まあ知ってたけど。順当に行けばレベルかスキルなんだ。でもスキルのレベルってそこまで上がる?
「上がるよ? 僕の時はMPがそうでも無かったから寿命を使ってスキルを使ってたからね。僕は一応人間だったんだよ? それが20代で死んじゃったんだから。その位寿命を使い込まないとスキルは神に至らないよ」
……何故にそこまでやったのか理解に苦しむんだが。寿命の方がレベリング的には良さげな感じ?
「当然。寿命を何だと思ってるのさ。生命力だよ。魂の力だよ。それを経験値に変えるんだから相当量の経験値になるんだよ」
そこまでしないと、寿命を縮めてまで使い込まないとスキルが神には至らないんだ。勉強になったよ。じゃあマイケルがあのMPで使い込んでも駄目なんだ?
「駄目だね。寿命を削る行為をしない限り到達出来ない壁だよ。ただ単に小神を作っているわけじゃ無いんだから。魂を小神にするんだよ。1つの事に命を賭けなきゃ」
……怠惰は?
「怠けることに命を賭けるんだよ? それでこそ殺すという行為を30年程耐えないといけないんだから。虫すらも殺したら戦闘になるんだよ?」
あーそれは駄目だわ。羽虫とか殺しまくってるわ。それも放置しないといけないのか。割とハードじゃないか。
「小神になるんだからね。何かに突出してないと駄目なのさ。マモンは小神になる素質があるってことだね」
まあ最強になるんだからそりゃあそこに辿り着くよな。別に目指して小神になるわけじゃ無いけど。
「そんなのはどっちでもいいんだよ。要は結果だから。小神の資格が手に入ったらまた来るよ。それでは、良い混沌を」
だから、良い混沌ってなんだよ。
っと。……一瞬だったって落ちか。……駄目だな。しゃべろうとしたけど、しゃべれないな。マイケルに条件を教えようとしたけど駄目だった。なる程、そういうロックが掛かってるってことね。
まあいいや、目標、次の町。では出発。元気よく行こう。恐らく、この中ではリシャールが順当に行けば小神になるんだろうな。さて、どうなることやらですよ。小神か。考えたこと無かったな。