13.給食タイム
給食は五人組か六人組を作って自分たちで給食を取りに向う昔ながらのスタイルだ。
最近の給食もこんな感じなんだろうか? 俺の小学校時代はこの形態だったから納得するんだけど、よくよく考えると小学生にあの重い寸胴持たせて自分の教室まで運ばせるって結構酷いよな。
たまに重さに耐えきれなかったりでコケて零してその教室の皆が汁モノ食べられなくなったりとかあるし。
美味しいデザート系だったりしたらもう最悪で、給食係から村八分一直線のクラスチェンジを強制される。
あれは、恐ろしかった。いや、俺としても許せなかったけども、いくらなんでもそれだけでクラスカースト最下層に叩き落とすのはやり過ぎかなって思うんだ。
今回給食を給食センターに取りに向ったのはNPCばかりの班だった。
この1年2組、結構一緒の面子少ないな。ゲームやってる人数的にクラスメイト全員プレイヤーでもおかしくない位なんだけど……
「なぁ輝君よ」
「ん? 質問かいヒロキ」
「いや、この世界結構なプレイヤー居ると思うんだけど、小学生って人気ないのか? 俺らの教室ざっと見た感じ六人くらいしか見掛けないんだけど」
「数百人くらいは小学生やってるよ? 数が多いから教室を振り分けてるしサーバーも分けてるんだって。あれ? サーバーってなんだっけ?」
はいメタ発言ありがとー。
俺は気にしないが世界観大事にする奴だと一発アウトだぞ運営さん。
「サーバー、分けてんだ? あーしとヒロキが会ったのは偶然ってことね」
「みたいだな。ってかユウさんや、やっぱり近すぎません?」
「え? 嫌、だった?」
「嫌、ではないけども……」
『ほほぅ』
あ、いや、嫌じゃないけどやっぱりほら垢BAN恐いし、ハナコさんとならむしろもっとくっつきたいというか、なんなら大人な抱きしめもありと……
―― 警告:その思考を実行した場合アカウントが停止されます ――
いやぁぁぁぁ!?
『お馬鹿ねぇ……』
あ、今の確信犯ですか!? くすくす笑っちゃってんじゃん。
「はーい、皆ー給食来たよー!」
「おー、んじゃ並ぼーぜヒロキ」
「あ、ちょっとそんな強引な。あーれーっ」
『とかいいつつ楽しそうなのよねぇ』
苦笑いしながらハナコさんも憑いて来る。
ハナコさんは食事どうする?
あ、取らなくていいんだ。幽霊だから。
線香とかお供えしようか? なんかどっかで幽霊の食事だって聞いたけど?
『けむたいだけだから遠慮しとく。どうしてもって言うならおはぎでもお供えして』
まずはトレーを取って、トレーに皿を乗せる。
そこからは一つづつ順番に給食係達の元へ向い、パン、牛乳、スパゲッティ、八宝菜、ご飯、汁物……は今回トン汁か。
これって毎回レシピ考えてるんだろうか? それはそれで大変そうだなぁ。
食事を乗せたトレーを自分の席に。
ここでイジメを受けてると足を引っ掛けてくる奴がいて、転んでしまうと今日の食事が無くなってしまったりする。
昔はたまにあったんだ。さすがに目立つし先生にバレて処罰されたらしいけど。
子供への処罰だから甘過ぎて処罰になってなかったんだよな。
だからまたされるんだ。
結局イジメされてた奴は何度もされてるうちにイジメられ癖が付いてしまった。
確かあいつ、最後の最後卒業式でイジメの首謀者刺して少年院行きになったはずだけど、今はどうしてるんだろうなぁ?
「どったの、なんかしみじみとした顔で食事してっけど」
「いやー、昔の給食だなぁと、懐かしんでたんだ」
「あー、ってことは結構リアルで年齢行ってる? あ、っとこれはマナー違反か」
「あはは、そこは否定しないでおくよ」
「にしても、久々に食うけど給食ってこんなんだっけ? なんっつーか味気ねぇっつーか。大衆食堂とかジャンクフードの方があーしは好きだなぁ」
「若いと給食にはそこまで感慨がないのかな? 俺としちゃぁ記憶の彼方にしかなかった懐かしの味だからなぁ。いやー、確かにこれは昔に戻りたい奴にはいいVRだ」
「ほーん。ヒロキもほのぼのしたい系?」
「いや、それだったら戦闘スキルとか取らないからな。俺の目的は既に成就したんだ。だからこれからどうするかはこれから決めるとこかな。輝君、なんかお勧めのとこないかな?」
「うん? レベル上げなら町を歩いてたら動物たちが襲ってくるよ? 森とかにいくなら鳥獣捕獲許可証と猟銃は持っといた方がいいかな?」
猟銃って、小学生で買えるの?
「あと噂のある場所だと怪異系の存在がいるとか聞くね。幽霊体験したいなら夜の学校だけど、推奨レベルは10以上、ボスに立ち向かうなら30くらいはあった方がいいね」
うわーお、ハナコさんの推奨討伐レベルって30なのか。しかも一グループでの戦闘推奨。ソロはもっとレベルがいると思う。
でも、そうだなぁ、やる事といえばハナコさんをテイムすることだったし、目的果たしたから何もすることないんだよなぁ。ハナコさんとデートでも出来ればと思ったけど……せっかくだし夜のデートもありかも?
『うーん、目的がないならやってみる? 七不思議巡りツアー』
俺のレベル、まだ2なんですけどぉ?