4・初期設定3
「ではでは、このゲームの楽しみ方、施設などの説明に移りますね。要らない場合は視界内に存在するスキップボタンを選択してくださいなー。後でヘルプでも確認できる内容なので聞かない人が多いですよ? 私も説明長いし面倒は嫌いです」
つまりスキップ押せと。
良し分かった。全部聞こうじゃないか。
俺がブッチするのはテイム説明からだ。
そこに至るまでどれだけあるか知らんが、全部聞いてくれるわっ。
決して目の前のお姉さんの言動がムカついた訳じゃないからな。
「え? 話すんですか?」
「聞きましょう。さぁ、どうぞ」
「うへぇ……」
うわぁ、AIにあるまじき嫌そうな顔になりやがった。
プレイヤーに対してその態度はいいのか? クレーム対象じゃね?
「では説明しまーす。まずゲームの楽しみ方ですが、これはプレイヤー様の自由です。基本的な遊び方としましては小学生として学校に通って授業を受けたり、友人を作って青春を謳歌する、というのがエンジョイ勢の楽しみ方ですね。そういう方は地方都市に向ってスローライフ始めたり、メイン都市で昔出来なかった青春を謳歌することもできます。折角のゲームなんですからロンリーウルフの便所メシとかやめてくださいね?」
「さすがに現実でもやったことないな。でも、現実で便所メシやってると、ゲームでもそっちのが落ち付くんじゃね?」
「いや、ゲームまで来てそれだったら現実で満足しろよって話ですよね?」
満足するとかの次元じゃない気がするんだが?
「まぁ要するにプレイの仕方は人それぞれ。施設説明に向いましょうか。ヒロキさんは小学生でのプレイということですので主要施設は自宅と学校、そして通学路になります」
通学路? ただの道路だよな?
「通学中、ヒロキさんは霊視スキルを持っているので幽霊達が敵として寄って来ます」
地味に嫌だなその光景。
「他にも覚えているスキルによってイベントが起きたり起きなかったりもします。起こしたいイベントがある場合狙ってスキルを取ることもお勧めですね。霊感系スキルや勇者などの特殊スキル、テイムスキルなどもこれに当たります」
ハナコさんと会うために必須の霊感系スキルは習得必死だからなぁ。通学中浮遊霊とかに襲われないようにしなきゃ。
確か霊力系スキル持ってない場合幽霊系の敵には有効打与えられないんだっけ?
「学校はいくつかありますが、基本実家の近くにある小学校所属になります。実家を選ぶ際に所属する学校なども選べますので遠い場所に通うことも可能ですよ」
なんでそんな苦行を?
わざわざ遠くの学校に通いたい人なんているの?
ああ、でも、いるんだろうなぁ。
世の中には頭のイカレた奴が沢山いるらしいし。
近場の小学校じゃなく、数時間掛けて山の上の小学校とかに通う人とかいそうだ。
まぁそんな場所に学校は無いけど、後々出来ない可能性は無いし。
俺は既に通うべき場所は決まってるからな。ハナコさんが出る小学校確定だ。
ちなみに、小学校や中学校を別のモノにすると出会える七不思議も違うらしい。
確か全部で七校あるんだっけ。
田舎の小学校と普通の小学校と進学用の試験付き小学校。中学校と女子中学校、高校、男子高校、大学で……八つある!? 七つの学校の七不思議って今タマモが言ったじゃん。八つあるのが七つめの不思議か!?
ちなみに、男性キャラでも女装すれば女子中学校に侵入はできるらしい。バレたら退学と警察行きだけど。
女性も男装すれば男子校に通えるそうだ。こっちもバレたら退学と警察行きらしい。男子校に入る女性とかまずいないでしょ。……いる、のか。そうですか。
小学校は出欠確認はあるものの、授業を休んだからという理由で退学や留年にはならない。六年間過ごせば中学校に自動的に上がれるそうだ。進学用の小学校は学年ごとに試験があるのでそれに落ちたら留年らしいけど。
中学校以上はちゃんと授業ごとに規定数顔を出さないと単位を落として留年になるらしい。顔出しだけすればあとは教室出ても問題無いらしい。この辺りはゲームの仕様だな。
「それで、休暇日ですが、この世界では土曜日は半日、日曜祝日は丸一日休日になっています。夏休みとかもありますよ。放課後や休日には街中で遊べますので……」
街中の説明をざっと受ける。
多分ここが一番長かった。
三つの小学校近辺の施設を次々説明していくんだもんよ。
さすがにスキップ押そうかと思ったくらい長かった。
ただ、押そうとした瞬間タマモの視線がキラッキラしてたので負けてたまるかという思いから押すことは無かったんだけどな。
ふふ、耐えきってやったぜ。
タマモが凄く残念そうにしてたのは良い気味だった。
その分時間取られたけど。
その後もいろいろな説明を聞かされ、小学校と自宅の選択。
そして、ついに待ちに待ったテイムの説明へと至るのだった。