【リニューアル】福井県立恐竜博物館(勝山市)が7月14日(金)にリニューアルオープン

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恐竜の塔

昨年12月から休館していた福井県立恐竜博物館が7月14日、リニューアルオープンします。11日に行われた内覧会に伺いました。

福井県立恐竜博物館の外観

同館は2000年に開館し、年間最高で94万人が訪れ、カナダのロイヤル・ティレル古生物学博物館、中国の自貢恐竜博物館と並んで、世界三大恐竜博物館に挙げられています。今回は3階建ての新館が増築されました。

新館のモニュメント、収蔵庫、シアター、研究体験コーナー

それでは新館から見ていきましょう。1階から3階まで吹き抜けとなったホールには「恐竜の塔」というモニュメントが設置されました。福井県で発見されたフクイティタン、コシサウルス、フクイサウルス、フクイベナートル、フクイラプトルの恐竜5体とフクイプテリクスの鳥類1羽があしらわれています。

恐竜の塔

勝山市では1989年からの発掘調査で、約1憶2000万年前の地層から多くの恐竜化石が発見されています。恐竜化石や、そのほかの動植物の化石から当時の環境の解明が進んでいます。

中が見える収蔵庫

エスカレーターの脇には収蔵庫がありますが、一部の壁をガラスにして、中の様子が見えるようになっています。

3面ダイノシアター

1階の特別展示室は、特別展がない期間は、高さ9メートル、幅16メートルの大型スクリーン3面をコの字型に並べ、実物大の恐竜を映し出す「3面ダイノシアター」となります。1憶2000万年前の福井の恐竜たちが動いたり、いなないたりする様子は臨場感があります。

化石クリーニング

3階の「化石研究体験室」はリニューアルの目玉です。展示物を見てもらうだけではなく、研究の様子をリアルに体験してほしいと願って作られました。メニューは4つあり、「化石クリーニング」と「CT化石観察」は通年で体験できます。「化石クリーニング」は、プロ仕様の道具を使って岩を削り、化石を取り出す作業を行います。

CT化石観察

「CT化石観察」は、コンピューター断層撮影法(CT)で化石の内部を観察できるような体験ができるプログラムです。そのほか、4月下旬から11月上旬はティラノサウルスの頭骨を組み立てながら、その特徴などを学べる「T.rex頭骨復元」が、11月中旬から4月中旬は、化石を見つけ、見分ける目を養う「化石発掘プラス」が体験できます。

本館も最新の研究成果を導入するなど充実。ミイラ化石も必見

続いて本館です。出入口のある3階から33メートルのエスカレーターで地下1階に向かいます。ダイノストリートという左右に化石の標本が飾られたトンネルを抜けると、そこは恐竜の住む世界です。

動くティラノサウルス 

1階が「恐竜の世界ゾーン」です。まずは、動いて咆えるティラノサウルスの迫力に圧倒されます。こちらは「口を閉じた時は歯が見えない」という最新の研究成果を反映して、今回修正されました。アトラクションのような展示でも、科学的な正確さを追求しています。

恐竜の全身骨格の展示

恐竜の全身骨格の展示

恐竜の全身骨格は6体増えて50体になりました。うち10体は実物の化石を使っています。より躍動感のある姿勢に変えたものもあるそうです。

「ミイラ化石」

このフロアで見逃せないのは、草食恐竜ブラキロフォサウルスの皮膚や筋肉の痕跡が残っている非常に貴重な「ミイラ化石」です。表面に蜂の巣穴のようにいくつも見える円の部分が皮膚の痕だそうです。米モンタナ州の博物館から10年間借りている実物化石で、保存状態の良さからギネスブックに登録されています。

ジオラマ「中国四川省の恐竜たち」

中国四川省の恐竜たちを再現したジオラマも動いたり、いななきが聞こえたりとダイナミックです。

福井の恐竜コーナー

 

同じフロアにある地元・福井の恐竜コーナーもお忘れなく。ほかにも鉱物や岩石の展示もあります。2階は生命の誕生から人類までの進化を紹介しています。

レストラン、ショップも拡大

リニューアルに伴って、レストランは3倍以上、ミュージアムショップは約2.4倍の広さになっています。

右が「スピノサウルスカレー」。背びれが特徴です
カクテルソーダとスイーツ

レストランのメニューでは、福井県奥越産コシヒカリと勝山古代米をブレンドしたスピノサウルス型ライスが特徴の「スピノサウルスカレー」(1,250円)や、フクイベナートル、フクイサウルスなど福井で発見された恐竜をモチーフにした色鮮やかなノンアルコールカクテルソーダ(1,000円)などの新メニューが目を引きました。レストラン内には本物の化石も飾られ、眺めながら食事ができます。

種類豊富な恐竜のフィギュア
Tシャツなどのグッズ

ショップには館限定品を含む豊富な恐竜フィギュアのほか、Tシャツなどの定番グッズも充実しています。

来年3月には北陸新幹線が金沢より先の敦賀まで延伸するため、福井は東京からも近くなります。今年3月には、画家の絹谷幸二さんが原画を描いたステンドグラスのパブリックアート「ジュラシックえちぜん」が、えちぜん鉄道の福井駅に設置されました。これから福井県は「恐竜王国」としてますます盛り上がりを見せそうです。(美術展ナビ編集班・若水浩)

福井県立恐竜博物館
住所:福井県勝山市村岡町寺尾51-11
休館日:第2・第4水曜日および12月31日~1月1日。
※夏休み期間中は無休。施設点検などのため臨時休館あり
開館時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
入館料:一般1,000円、高・大学生800円、小・中学生500円、70歳以上500円。未就学児は無料。※事前購入(事前決済)を原則とします。化石研究体験は追加料金が必要
詳しくは、同館HP