本編後に入れる予定があった(かもしれない)カンベとライラックの番外編です。ライラックの先の話を知りたい人向け
【本編終了後の番外編カンベ×ライラックルートです。こういうの嫌だな!って方は見なくても大丈夫です。】
※カンベライラック編/最終話ネタバレを含みます、ご注意ください。
最終話で森子に一旦の告白をした藤本ですが、そもそも恋愛とはなんなのかを『自分中心』で考えるようになったキッカケはライラックの告白です。
本編内ではカンベ→ライラックへの気持ちの大きさが大きくなかった為、ライラックの為にと断ります。
自分が好ましいと思う人物はどういう人間なのか、と考えた時に「真面目で健気で頑張る人」なんじゃないかと考え、森子が浮かびます。
└ただ、その好意は恋愛と呼ぶかわからない。自分の『好意的』な心情をなんと呼ぶのか悩みます。
→そして最終話までその悩みは続きます。
告白の一件以来、ライラックはカンベが思った以上に『良い距離感』を心がけます。
ライラックはカンベに振られたものの、それでも好きな人の側に居られるならと、明るくて楽しい猫耳娘のライラックとしてギルド内の賑やかしに努めます。
ゲーム内の様子がいつも通り、それよりももっとフランクで、少し生意気な「いつものライラック」になっている姿を見て、藤本は内心でライラックを案じながら「口の悪いマスターのカンベ」としてのロールプレイに徹しつつ、自分が思っている以上にライラックが真剣で、カンベが大切にしているものを一緒に守ろうとしている事に気づきます。
(ライラックの最初の印象が「あぶなっかしい」「他人の秘密もよくバラしちゃう」「ノリが良すぎる」みたいな部分だったため、その印象を引きずる評価を改めて行きます)
→悩みの延長線でギルドルールを眺めて、「恋愛が悪いのではなくて和を乱すのが悪い。でも、思いやりって強制するもんじゃないんだよな」と考えます。
既に桜井(リリィ)は森子(林)を好きだし、藤本はそれを反対していません。この二人が基本的に善人であることを信じているから。
そしてライラックも、善人であり健気にギルドの空気を守ってくれている。
ログインの少ないメンバー含めて強制するような文面のギルドルールは不必要なのではないかと考え、ギルドルールを今のギルドに合わせたものに変える相談をします。
※ギルドルール変更/恋愛禁止強制ルール撤廃話※
と、そういう流れを経て、しばーーーーらく経った最終回より後の日の話だと思って読んでください。
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あれからしばらく経ったある日、いつも通りログインするとカンベがいる。いつも通り挨拶すると、珍しくカンベがライラックの所までマップ移動してくる。
ライラックの側に座り込み、しばらく雑談をし、そして会話が止まるとカンベが口を開く。
「……なぁ、お前お前って好きな人いるの?」
「は、はぁ!?いきなり何いってるの!?どうしたの!?頭おかしくなったの!?」
カンベが到底言いそうにないセリフに、耳を尖らせビビるライラック。
「なってねぇよ!!いや…なんか、あれから結構変わっただろ。色々……」
「えぇ?私は全然変わってないじゃん!いつもどおり…」
(待って待ってどういう事!?何何何!!!どうしたの!!!)と焦る奈緒
「まぁ、そうだよな…」
「そ、そうだよ…」
沈黙が流れる。
ややあって再びカンベが口を開く。
「……お前も俺も、もう社会人だな」
「えっ」(どういうこと??)
脈絡のない話題フリに困惑するライラック。
真顔のカンベ。
「俺、お前にすっごい偉そうな事いってたけど、同い年だよ多分」
頑なに自分の事を喋らなかったカンベが、自分の年齢を暴露しだす。
さらに驚くライラック。
「えっちょ、ま、え!!そうなの!?知らなかった!!」
「言わなかったからな」
「なんで急に言うの!?」
「言っても良いと思った」
「なんで?!」
パソコンの前で興奮してジタバタする奈緒。告白した時の事を思い出している。
顔を赤くしながらうーんと悩んでいる藤本
「…もしかして、オフ会とか…したい的な?皆あつめる?」
もしかしたら皆で集まりたいから言ってきたのかもしれないと考えて提案するライラック
それを言われてカンベも頭を抑えて空を仰ぐ
「いや、いやちがう。そう言うんじゃない」
「…えぇぇ…本当どうしたのぉ…具合悪いの~…?」
不安げなライラック
絞り出すようにカンベが言う。
「…俺、お前が思ってるようなオジサンじゃない」
「そ、そうなの…?」
「口も別に、フローラルじゃないし」
「芳香剤のネタまだ擦るの?」
「あと目が悪い」
「メガネ君なんだ…確かに時々視力ネタに乗っかってるの見たかも…リリィちゃんと話したときのやつ」
以前の告白時のネタを擦られて、ドキドキしながらも笑う奈緒
「お前は前から自分のことを良く話すけど、俺は今までお前に全然話さなかった。……昔のお前はやたらにお喋りだったし、俺も言う必要がないと思ってた」
そう言われて今度は悲しそうな、怪訝な顔をするライラック
「……そりゃ……前は、結構、やらかしてたと思うけど……そんな信用ないの、今更言わなくても……」
「……でも今は違うっていうか!」
ぎこちなく遮るカンベ
キョトンとするライラック。
「……お前、今更俺のこと知りたいと思うか?お前の中の俺はどんな感じなんだ?」
様子がおかしいけれど、真剣な様子のカンベにライラックが静かに答える。
「…私は、どんなカンベもちゃんと好きだよ」
「そういうのは顔見て決めろ」
「顔で選ばないって前言ってたじゃん!」
言われて頭をガシガシと掻いて、「あーもう俺は…!」と上手く振る舞えない自分に焦る藤本
「そういうのは!顔を合わせて言うもんだろ!」
「!!!!!!!」
「…で!!会うのか会わないのか!!!!」
「会う会う会う会う会う会う!!!!!!!」
【!】マークで誤魔化しながらの会話があがるログ画面。
PC前で顔を赤くして口を抑える奈緒、PC前で人を駄目にするクッションに背中を預けながら顔を赤くし、照れ隠しの渋い顔をしている藤本。
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後日、待ち合わせ場所まではいつも通り「カンベ」と「ライラック」として会話するも、いざ顔を合わせると「はじめまして~…」「どうも…」みたいなよそよそしいやり取りしたり、「本当におじさんじゃない」みたいな会話をするのかもしれない。
(リアルの藤本と奈緒のオフの待ち合わせイラストがあります。イラストまとめの方に入っていますので気が向いたら見てみてください。)