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「女装はするけど、好きなのは女の子」“札幌ホテル首狩り殺人”被害者の“トモちゃん”(62)「交際相手は30代ハーフ美女」

文春オンライン / 2023年7月9日 17時50分

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札幌市ススキノにあるラブホテル街 ©文藝春秋

《札幌ホテル“首狩り”事件》「2人とも女性のような服装だった」防犯カメラに映ったナゾの犯人と62歳被害者を結ぶ「点と線」 から続く

「先週の今頃の時間、このあたりで不審な人物を見かけませんでしたか?」

 7月9日の午前1時半から2時半。北海道警の捜査員20名が、通行人や通行車両に必死の検問を行っていた。場所は北海道一の歓楽街、札幌市ススキノにあるラブホテル街だ。ちょうど1週間前――7月2日のその時間帯、つば付きの帽子を深くかぶった黒っぽい服装の人物Xが、スーツケースを引いて夜の街に姿を消した。Xが約3時間滞在したホテルの一室からは、その日午後、頭部のない男性の遺体が発見されたのだった。

被害者男性は「女性の恰好で会場に来ました」

 3日、指紋や手術痕などから身元が判明した男性は、現場から約30キロ離れた恵庭市に住む会社員のAさん(62)。

「Aさんは結婚後、故郷の恵庭に戻り、内装建材会社の工場で働いていました。奥さんと成人した2人のお子さんがいます。5年ほど前は町内会の区長さんを当たり障りなく務めていました。周囲とはほとんど交流がありませんでしたが、優し気な方で、トラブルもない。冬場は黙々と自宅前で雪かきをしていた姿を覚えています」(地元住民)

 一方で、Aさんは多様性の時代を謳歌する男性だった。殺害される前夜、Aさんは現場となったホテルから徒歩5分ほどの場所で開催されたディスコイベントに1人で参加。顔見知りの参加客が振り返る。

「女装家のAさんは、その日も女性の恰好で会場に来ました。ショートヘアに、白いカーディガンのような服を着て、膝下まであるスカート。着替えの入った紙袋かバッグを持って。イベントが始まると、上下セパレートで光沢のある銀色の衣装に着替えていました。右の胸元には『NASA』と書かれていて、宇宙服というか、ピンク・レディーの『UFO』みたいなイメージ。電飾のついた小さなリュックも背負っていました。ダンスフロアで他の参加客と楽しそうに喋ったり、踊ったりしていたんですよね。帰りは元の服に着替えて1人で会場を後にしました」

切断した頭部をスーツケースに入れて……

 ディスコイベントが終了したのは午後10時。同35分頃、近くの閉鎖したダンスクラブ前で合流したのが、謎の人物Xだったのだ。周辺の複数の防犯カメラは、ホテル街に向かう2人の姿を捉えていた。警察から画像を見せられた人物によれば、Aさんは上記のディスコイベントでコスプレする前の服装、小柄なXは白っぽい恰好だったという。二人は同50分頃、ホテル2階の部屋に入室した。

「Xが退室したのは午前2時頃。半日以上が経過した午後3時頃、もう1人がチェックアウトしないことを不審に思った従業員が部屋を訪ねて、事件が発覚した。被害者の遺体は全裸の状態で、浴室にうずくまっていた。争った形跡や防御創はなく、入浴中の無防備なところを襲われたと思われる。頭部は殺害後に切断。箇所や数は公表していないが、被害者の体には致命傷となった刺し傷があり、死因は出血性ショックだった。刃物とみられる凶器は見つかっていない」(捜査関係者)

 服装を入室時の白系から黒系に替えたXは、Aさんの身元特定につながるような所持品を一切残さず、殺害現場から抜け出した。衣類、財布、携帯電話、近隣の有料駐車場に停めていた白い愛車のキー、そして顔が分かる頭部――。

「それらをスーツケースに入れ、立ち去ったものと思われる。GPSの追跡を逃れるためか、持ち去った被害者の携帯電話は、退室と同時間帯に電源が切られていた」(同前)

「女装はするけど、好きなのは女の子なんだ」

 Xはいったい何者なのか。女性の服装をしていたが、性別は不明で、身長は160センチ前後。ただ、ホテルの部屋を退室する際、フロントに「1人で先に出ます」と電話をした声は女性のようだったという。手がかりは、Aさんが週末に繰り出していたススキノの街にある。

「Aさんは通称『トモちゃん』と呼ばれていました。40代くらいに見えたので、事件で年齢を知った時は別人じゃないかと思ったほど。身長は170センチくらい。女装のクオリティは高く、お化粧もばっちりで。少し大柄だけど、服装はナチュラルでおしゃれな女性そのものでした。ただ、本人は『女装はするけど、好きなのは女の子なんだ』と話していました」(Aさんの知人)

 Aさんは、ススキノのダンスクラブや趣向の変わったバーなどを飲み歩き、“週末の顔”を堪能していた。出入りしていたクラブの常連客が語る。

「いつも綺麗な女性の恰好でした。少なくとも7、8年ほど前からはススキノで見かけられていたそうです。1人の時は物静かに飲んでいるけど、知っている人がいれば楽しげに話していましたし、女性数人と来たことも。他の客と馴染みやすいキャラクターではあったと思います」

周囲に仄めかした“ハーフっぽい美女”の存在

 別の知人はこう明かす。

「女性が好きな人という印象でした。ダンスイベントでは女の人の体を触ったりしていましたし、キスや撮影をせがんだりしていましたから。LINE交換した子は『デートしようよ』と頻繁にメッセージが来て困惑していました」

 一方で、特定の存在を示唆したこともあった。

「今年の春頃、トモちゃん(Aさん)が『彼女なんです』と、スマホで写真を見せてくれたことがあったんです。見た目は20代から30代、目鼻立ちがハッキリとした、ハーフっぽい美女でした。『クラブで知り合った』と言っていました」(同前)

 殺害後に頭部を切断し、持ち去った事件からは、Aさんに対する犯人の強烈な感情が窺える。殺害現場から消えたXは、Aさんの交友関係の中にいる人物だったのか。札幌中央署に設置された特別捜査本部は、7月9日現在、異例の240人態勢でXの行方を追っている。

◆◆◆

「週刊文春」では、今回の事件について、情報を募集しています。下記のメールアドレス、または「公式ツイッター」のDMまで情報をお寄せ下さい。

メールアドレス: sbdigital@bunshun.co.jp

公式ツイッター: https://twitter.com/bunshunho2386

(「週刊文春」編集部/週刊文春Webオリジナル)

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