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「明治日本」に憧れたリトアニアでNATO会議開幕 大使インタビュー

産経ニュース / 2023年7月10日 19時34分

インタビューに応じる、オーレリウス・ジーカス駐日リトアニア大使=5日午前、東京都港区(鴨志田拓海撮影)

バルト三国の一つ、リトアニアのオーレリウス・ジーカス駐日大使が都内で産経新聞の取材に応じ、ウクライナ危機のさなか、北大西洋条約機構(NATO)域内の脆弱(ぜいじゃく)地点を抱えるリトアニアで11~12日、首脳会議が行われることは有意義だと強調した。また、中国に厳しい姿勢を見せるリトアニアに経済・外交で中国が報復していると批判した。

--NATO首脳会議が首都ビリニュスで開幕する

「リトアニア西隣に位置するロシアの飛び地カリーニングラードには、バルト海経由で露軍部隊が入り、武器も集積されている。リトアニア東隣には露同盟国のベラルーシが位置し、リトアニアを挟む形になっている。挟まれた南部一帯は『スバルキ・ギャップ』と呼ばれ、NATOの脆弱な地点でもある。ビリニュスに集まる各国首脳はウクライナ情勢が緊迫の度を増す中、危機を身近に感じ、有意義な会合になるはずだ」

--ウクライナ南部ザポロジエ原発への露軍の攻撃も懸念されている

「ロシアが野蛮な国であるのは間違いない。リトアニアは大公国時代の13~18世紀、最大でバルト海から黒海までおよび、東からの襲来に対し欧州を守る役割を果たしてきた。ウクライナは今、大公国と同じ役割を果たす。東の野蛮人(ロシア)から欧州を守っている」

--日露戦争で日本はロシアを破った。今のウクライナにとって教訓になるか

「『リトアニアが夢見た明治日本』(平野久美子著)にあるように、アジアの小国・日本が大国を倒した事実は、リトアニア人など欧州の民族を驚かせ、リトアニア独立への刺激にもなった。これを契機にバルト三国は日本を尊敬するようになった。今、露軍に侵略されるウクライナの刺激にもなっている。ウクライナは自国のためだけではなく、国際社会が作ったルールのために戦っている」

--ウクライナ問題を討議するNATO首脳会議には日本も参加し、ロシアを挟み圧力をかける形となる

「(東西から)圧力をかける必要があるのは間違いない。現在、欧州や大西洋で起こる現象は東アジアにも波及する。NATOは大西洋周辺の国々が作った機構だが、グローバル化された世界で参加国を区別する必要はない。日本は(中国対応などでも)NATOと調整する必要がある」

--リトアニアは2019年、中国をロシアと並び初めて「安全保障に有害な国」に指定するなど厳しい対中姿勢で知られる

「(そうした言動をするのは)正しいことだからだ。リトアニアは小さい国で、大国と違い物事をはっきり言える。ただ(報復により)中国との貿易はほぼゼロになり、中国からの投資もない。ビリニュスには中国の大使がおらず、リトアニア外交官も北京から離れざるを得なくなった。これが中国のやり方だ。今の世界には2つのブロックがあり、国際秩序を守る国と守らない国がある。中国はそのどちらだろうか?」

--中国がリトアニアとの貿易を止めたため、リトアニアは台湾、シンガポール、日本、韓国との貿易を増やしている

「リトアニアに次のようなことわざがある。『危機のとき、自分の本当の友が分かる』。日本と同じだ」(聞き手 黒沢潤)

オーレリウス・ジーカス リトアニア生まれ。ヴィータウタス・マグヌス大政治学部博士課程修了。2005年、在日大使館事務官、15年9月、同大文学部准教授、21年4月、リトアニア・ラジオ・テレビ委員会委員。22年5月から現職。「杉原『命の外交官』財団」理事会会員も務めた。

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