那覇地検が業務上過失傷害罪に罪名を切り替えて起訴したことについて、ある沖縄県警幹部は「最初から特別公務員暴行陵虐致傷罪の適用が無理筋なことは分かっていた」と明かした。「高校生が失明するという重大な結果だけに、県警が法定刑の軽い業務上過失傷害罪を選ぶわけにはいかなかった」と漏らした。

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 事件発生後、県警内では、特別公務員暴行陵虐致傷罪での立件は厳しいとの見方が強かった。客観証拠が乏しい上、当事者の供述が食い違い、夜間に狭い路上で起きた警棒の衝突は、「再現不可能」(県警幹部)だったからだ。

 ただ、初めから業務上過失傷害容疑で書類送検し、巡査の不注意だったと片付けてしまえば、失明した高校生側や県民への説明が付かず、「身内びいきだ」との批判から逃れられない。対外的に厳しい対処を見せる必要があり、「県警として精いっぱいの容疑」(同幹部)で書類送検することを選んだ。

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 起訴を受け、沖縄署では29日夜から厳戒態勢が敷かれた。大型輸送車両2台を壁のように並べ、少なくとも30人の警察官が警戒に当たった。署の前の歩道には鉄柵が置かれ、歩行もできなくなった。

 昨年1月の事件発生後は、沖縄署を多数の若者らが取り囲み、投石などをする事件が起きた。