沖縄市内の路上で昨年1月未明、バイクを運転していた当時17歳の男子高校生に巡回中だった当時沖縄署勤務の30代男性巡査が接触し、右目を失明させた事件で、那覇地検は29日午前、巡査を業務上過失傷害罪で在宅起訴した。関係者への取材で分かった。昨年11月に特別公務員暴行陵虐致傷容疑で書類送検されていたが、地検は罪名を切り替えた。「故意」の立証は困難などと判断したとみられる。

 これまでの調べによると巡査は昨年1月27日午前1時過ぎ、沖縄市宮里1丁目の路上で巡回中、職務質問のためバイクを停止させようと高校生に左手でつかみかかり、右手に持った警棒が右目付近にぶつかったことで失明や右頬骨折の重傷を負わせたとされる。

 業務上過失傷害罪は、業務上の注意を怠るなどした結果、けがを負わせた際に適用される。警察官などが職務を行う際に暴行を加えるなど故意性が問われる特別公務員暴行陵虐致傷罪に比べて、法定刑は軽い。

 県警などは認否を明らかにしていないが、捜査関係者によると、巡査は昨年11月の書類送検までの調べに対し「職務質問しようとした結果、けがをさせたことは間違いない」などと大筋で容疑を認めていた。

 当時の現場は接触の様子を捉えた防犯カメラや目撃証言など客観的な証拠が乏しく捜査は長期化。県警は関係者の聞き取りや夜間の検証、専門家の意見などを踏まえ、不注意ではなく意思に基づく「故意の暴行」と結論付けて書類送検し、巡査の一連の行為を「不適切だった」としていた。