市制60周年記念事業「恋するいきもの展」

Point見どころ

イッカクの長い(きば)

イッカク(左:メス、右:オス)
【千葉県立中央博物館所蔵】

イッカクは北極海に生息するクジラの仲間で、全長は最大で8m近くまで達することがあります。イッカクはオスが長い牙を持つことで有名です。オスは上顎の左側の犬歯が長く伸び、それが上唇を貫きます。
この長い牙の機能の現在最も有力な仮説は、「オスどうしの強さを比べるための指標」です。オスの牙は他の部位に比べ個体差が大きく、オスどうしの争いの際に戦う個体がお互いに牙を見せ合い、また栄養状態の良いオスほど長い牙を持ちます。こうした間接的な証拠から、オスは牙の長さから自分と相手の強さを比較している可能性が高いと考えられています。
今回展示しているものは、オスとメスの骨格標本です。是非オスとメスを見比べ、その迫力をご体感ください。

ハクセンシオマネキの
拡大模型!

ハクセンシオマネキ拡大模型

特別展会場に入ると、ハクセンシオマネキの巨大模型が出迎えてくれます。ハクセンシオマネキは関東から九州にかけての干潟に生息するカニの仲間です。オスは片方のハサミが大きく、オスはこのハサミを使ったダンスでメスに求愛します。オスのダンスに誘われてメスが惹きつけられると、まずオスが巣穴に移動します。そしてメスはオスを追いかけて巣穴を訪問します。このときオスは巣穴の中から「音」を出してさらにメスを求愛します。
会場ではハクセンシオマネキのハサミを手につけて巨大模型と一緒に写真を撮ることができます。また音声コーナーでは、このハクセンシオマネキのオスが巣穴の中からメスに求愛する「音」も実際に聴くことができます。

セイキチョウの
高速タップダンス!

セイキチョウ【太田菜央氏提供】

セイキチョウやルリガシラセイキチョウの求愛行動は少し複雑です。雌雄がお互いにさえずりながら巣の材料となる枝をくわえて、ジャンプを繰り返します。このジャンプを詳しくみてみると、実は単なるジャンプではなく、ヒトの目では捉えることのできないほどの速さで「タップダンス」をしています。止まり木を介して相手に伝わるタップダンスの振動や、さえずりなどが彼らの求愛には重要なようです。
このタップダンスも音声コーナーで視聴いただけます。目にも止まらぬタップダンスを是非ともご堪能ください。

オスの精莢(せいちょう) をこっそり
捨てるヒメイカのメス

ヒメイカ【佐藤成祥氏提供】

ヒメイカは日本に生息する世界最小のイカの仲間です。メスはオスよりも少し体が大きいですが、それでも2cm程度しかありません。
ヒメイカの交接行動は比較的地味です。オスは特に求愛するわけでもなく、そっとメスに近づき、交接腕に持った精子の入ったカプセル(=精莢)をメスの腕の付け根付近につけます。メスも嫌がる様子もなく、静かに精莢を受け取ります。ところがオスが去った後、メスはなんと気に入らないオスの精莢をこっそり捨ててしまいます。今回の展示では、このヒメイカの雌雄の標本をご覧いただけるだけでなく、メスが精莢を捨てる瞬間の映像もお楽しみいただけます。

日本最古のオスとメス

クリンティエラ アンチフリッガ
(左:オス、右:メス)

オスとメスが区別できる生き物の中で、日本で最も古い化石がClintiella antifrigga(クリンティエラ アンチフリッガ)という介形虫の仲間です。介形虫は小さな甲殻類(エビやカニの仲間)で、エビが二枚貝の貝殻を背負ったような姿をしています。クリンティエラ アンチフリッガは約4億2500万年前の地層から産出した化石です。なぜこのクリンティエラ アンチフリッガのオスとメスが区別されるのかというと、この種ではメスが保育嚢と呼ばれる卵や幼生を一時的に育てるための器官を持つためです。つまりこの保育嚢のあるなしでオスとメスが区別できます。是非ともご来場いただき、実際にクリンティエラ アンチフリッガのオスとメスをご覧ください。