記事ではさらに、
〈「ロナルド・レーガン」の乗組員をめぐっては、その後、癌を発症するなど体調を崩すケースが多発し、現在、東京電力などを相手取った集団訴訟に発展している。朝日新聞の田井中雅人記者とフリージャーナリストのエィミ・ツジモト氏の共著による「漂流するトモダチ」(朝日新聞出版)によると、裁判は2012年に始まり原告は400人以上になっており、そのうち9人が既に死亡しているという。また、裁判で、東京電力は、乗組員の健康被害と原発事故との間に因果関係は無いと主張している 〉
と書いた上で
〈 しかしデータを見ると、かなり高い線量の中で乗組員が作業をしていたことがうかがえる。「トモダチ作戦」を日米安保条約の象徴として描くことに熱心だったメディアは多い。日米安保体制の役割を強調するメディアもあった。しかし、参加したアメリカ軍兵士の多くが健康被害を受けていることはあまり報じられていない 〉
などと、あたかも数多くの米軍兵士が高線量の放射線被曝を因果とした健康被害があったとの主張こそが真実であるかのように締める。
空母「ロナルド・レーガン」には航空部隊の人員も含めると約6000人が乗り込んでいたという。そもそも放射線被曝の如何にかかわらず、一定の年齢層以上で構成された6000人の集団で、数年にわたって誰もがんに罹らず死亡もしないケースなどあるのか。
なお、トモダチ作戦に伴う訴訟は2021年5月に取り下げられて完全に終結した。InFactが加担した「トモダチ作戦の被曝を因果とした健康被害が多発した」はフェイクニュースだった。しかしInFactにはそれを伝える記事も、謝罪や訂正も現在まで見当たらない。
今回は敢えて検証を見送るが、InFactには他にも、以下のような記事が並ぶ。
『福島第一原発事故で新事実 事故直後の首都圏で高レベルの放射線量が計測されていた』
『311緊急シリーズ「福島第一原発事故から6年」「甲状腺がん多発 − 被曝の影響は本当に無いのか?」』
これらもフェイクニュースに加担していないのか、内容に正当性・中立性が担保されていたか、ぜひInFact自身あるいは他のファクトチェック機関から厳しく検証されるべきではないか。