「処理水」放出を控えてなお、東電原発事故関連フェイクニュースが「ファクトチェック」対象にならないのはなぜか?
前編記事【「ファクトチェック」の必要性が叫ばれる中、なぜ東電原発事故関連の「フェイクニュース」は野放しのままなのか?】に続き、ファクトチェック組織のフェイクニュースへの姿勢を、具体例を挙げながら検証していく。
ファクトチェック各組織の動向
ファクトチェックを掲げる組織に対し、東京電力福島第一原子力発電所に伴うフェイクニュースの検証を求める声は多い。
特に、昨年10月にGoogleの慈善事業部門「Google.org」から2年間で最大150万ドル(約2億1,700万円)、ヤフーから1年で2,000万円という莫大な運営資金を提供されて発足した「日本ファクトチェックセンター」には強い期待が集まり、同組織には多数の情報提供も寄せられた。
参照)東京新聞の処理水問題「印象操作記事」を日本ファクトチェックセンターはどう考えるのか(現代ビジネス 2022.10.05)
一方で、同組織が掲げた《ファクトチェック対象は基本的にはSNSなどで配信されている情報とし、「正確で厳格な報道機関は対象外」》とする方針には当初から批判も相次ぎ、波紋を呼んだ。
参照)ファクトチェック機関設立も「テレビ・新聞は対象外」に総ツッコミ「テレ朝・玉川をチェックしろ!」(Smart FLASH 2022.09.30)
設立から9ヵ月以上が過ぎた現状はどうか。6月22日現在、同団体の記事を「処理水」「汚染水」「福島」「原発」「放射」「トリチウム」検索しても残念ながらファクトチェック記事が全くヒットしなかった。
同じ日に組織公式ツイッターアカウントを確認すると、『「(動画)海底を四足歩行をするタコ」は誤り。タコ型ロボットの映像【ファクトチェック】』という新着記事が紹介されていた。
ファクトチェックの対象と優先順位は、いかなる基準で選ばれているのだろうか。