頻発するフェイクニュースと印象操作
最近では、まもなく海洋放出が本格化する「ALPS処理水」(以下処理水)の報道が連日続いている。
当然ながら、実際には処理水の海洋放出による被曝で健康被害がもたらされることなど有り得ない。それはIAEA査察などで科学的に何度も裏付けされている他、広島サミットでは先進国首脳(G7)も海洋放出の支持を表明した。
この時事問題の本質は「風評」だ。2021年5月に福島民報・福島テレビが福島県民を対象に行った調査によれば、当事者は処理水の海洋放出における懸念点として「新たな風評の発生」(40.9%)、「県民への偏見・差別」(18.1%)、「県内産業の衰退」(12.1%)と答えている。
つまり、当事者たちは風評と偏見差別を最も恐れており、それらをもたらすフェイクニュースへの早急なファクトチェックが強く求められる状況が続いているのだ。
ところが、報道や著名人(政治家等)は処理水の安全性を積極的に伝えようとはせず、不安や怒りといった感情論や反対運動にばかり焦点を当てようとする。
たとえば、6月21日の朝日新聞記事などは象徴的だ。
『「海を汚さないで」「漁業を守れ」 福島で処理水放出の反対集会』(力丸祥子記者2023年6月21日)
当事者が恐れる偏見差別や風評に直結する言説も珍しくない。
「普通に考えて、世界最大の原発事故を起こした福島が放出するものと、事故を起こしていない国が放出するものと、同じ土俵で比べることが出来ると思いますか?」
(社民党副党首 大椿ゆうこ参議院議員2023年6月23日ツイッターでの発信)
「処理水、トリチウム水、何と呼ぼうが汚染水である」
(れいわ新選組代表 山本太郎参議院議員 2023年5月24日東日本大震災復興特別委員会での発言)
「私たちが食べる魚、さらに生態系に影響を及ぼす可能性もある」
(2023年4月23日しんぶん赤旗記事)