ススキノ切断遺体発見から1週間、浮かぶ「用意周到」な犯人像…240人態勢で捜査
読売新聞 / 2023年7月9日 9時36分
用意周到な計画殺人だった可能性が高まっている。札幌市・ススキノ地区のホテルからスーツケースを引いた黒ずくめの人物が立ち去り、室内から男性会社員(62)の遺体が見つかってから9日で1週間。北海道警は大規模な捜査態勢を敷き、3時間のうちに殺害して首を切断し、頭部や携帯電話を持ち去ったとみられる人物の行方を追っている。
「被害男性の身元が分かるものを現場に残していない」「捜査を遅らせようとする意図を感じる」。捜査幹部らは、逃走中の人物の印象をこう語る。
捜査関係者によると、室内から凶器は見つからず、遺留品は一切なかった。遺体は浴室でうずくまった状態で見つかり、致命傷の刺し傷があったが、身を守ろうとした際にできる傷は確認できなかった。寝室に血だまりや争った形跡はなく、男性は、浴室で無防備な状態で襲われ、死亡後に首を切断されたとみられる。
この人物は小柄で、1日深夜に男性とともにホテルに入る際は白っぽい服を着用し、大型のスーツケースを引いていた。だが、3時間後にスーツケースを手にホテルを出た時は、全身黒っぽい服に着替え、つば付きの帽子を目深にかぶった姿だった。捜査関係者は「用意周到だ」と語り、別の服装で逃走することで追跡を免れようとした可能性がある。
道警は事件発覚の翌日、刑事部長を本部長とする捜査本部を設置。100人規模のケースが多いが、近隣署から応援部隊を投入するなどして異例の240人態勢で捜査を展開する。現場は繁華街で、ホテルや飲食店が密集する「道内でも有数の防犯カメラが集中するエリア」(捜査関係者)だからだ。
多くの捜査員が膨大な防犯カメラの映像を見て、映像を道順につなげて逃走した人物の足取りを追う「リレー捜査」を行っている。また、付近の飲食店などで男性の交友関係を聞くなどし、この人物の特定を急ぐ。
東京未来大学の出口保行教授(犯罪心理学)は、「頭部の切断は、よほどの恨みがないとできない。発覚を遅らせるためなら遺体をばらばらにするが、人の象徴である頭部だけを持ち去った」と指摘。「殺害の動機は6割以上が恨みによるものだ」と話し、犯人は男性を恨んでいたとみる。
捜査幹部は「動機を推測するのは難しい。決めつけを排除し、事件の解決を急ぎたい」としている。
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