力関係で安く買い叩く
「2000円のものを1500円で売れ」と無理強いしたら恐喝だが、大企業が下請けに「今まで2000円で買っていたが、これからは1500円でなければ買わない」と通告するのは需要と供給で片付けられてしまう。力関係を利用して安く買い叩くのは、なぜか許されている。ときたま「優越的地位の乱用」として公正取引委員会が社名を公表したりするが、それによって大企業が大きなダメージを食らっている様子はない。われわれはいろんな場面で優越的地位の連中におびやかされながら生きているが、ほとんど公正取引委員会はでてこない。もしくは出てきたとしても、たいして効果はない。長いものにはまかれろという世渡りである。買い叩いたり買い叩かれたりするのが社会というだけかもしれない。刑法が禁じているのは暴力であるし、逆に言うと、権力を助長しているのが刑法である。刃物を振り回す粗暴犯に重い刑罰を課することで、ガツガツした社会的有力者を守っているのである。粗暴犯を野放しにすれば素晴らしい社会になるわけでもないので、暴力を禁止するのは当然であるが、ガツガツした有力者・権力者が報復をまったく恐れないのも困った話である。包丁を振り回さなくても他人を殺すことができる有力者がいるわけだ。無力な人間が抹殺されているのである。その業界では生きていけない、とかそういうことである。通り魔に刺されるのとは別のやり方で、日々いたるところで人々の命は終わっている。山上容疑者が英雄視されるのも、彼の犯行が素晴らしかったというよりは、社会的有力者が他人に圧力を掛ける現実にうんざりしているのだろうし、安倍晋三みたいなのが世の中にたくさんいるわけだ。