「まだ整理がつかない」安倍氏の地元山口でしのぶ声 追悼展も始まる
毎日新聞 / 2023年7月9日 7時30分
安倍晋三元首相が凶弾に倒れてから、8日で1年が経過した。一周忌にあたって献花台が設置されたほか、ゆかりのあった神社で追悼展が始まるなど、山口県内各所で安倍氏をしのぶ県民らの姿がみられた。
安倍氏の地元・下関市では、自民党下関支部に献花台と記帳所が設けられ、自民党関係者や支援者らが花を手向けた。同支部の友田有支部長は「国葬、県民葬と続いて今日を迎えたが、悔しく残念な思いでいっぱい。政治家として前を向いて歩いていかなくてはならない」と語った。
同市東大和町の安倍氏の事務所を引き継いだ吉田真次衆院議員の事務所にも献花台が置かれ、降りしきる雨の中、支援者が訪れた。同市綾羅木本町の建設業経営、岡本文夫さん(55)は「1度総理を辞めても、またチャレンジする姿勢は、何があっても立ち上がるということを教えてくれた」と振り返り「いまだに整理がつかない」と複雑な心境を吐露した。同市熊野町から訪れたサービス業経営の大沢修さん(71)は、現在の世界情勢を引き合いに「晋三さんの必要性を余計に感じる世の中になった。偉大な人を失った」と肩を落とした。
前田晋太郎・下関市長は「安倍先生が亡くなってから、1年経(た)った今でも、頻繁に喪失感に襲われる。しかし、いつまでも悲しんでいる事はできず、職務を全うする決意だ」との談話を発表。安倍氏の後継として衆院議員になった吉田氏も談話を発表し、「1年があっという間に過ぎてしまったというのが率直な感想。今後も、安倍先生の無念を晴らすとともにご遺志を引き継いでいきたい」と決意を示した。
自民党山口県連本部が入る山口市の県自治会館にも献花台と記帳所が設けられた。雨の中、関係者らが訪れて遺影に手を合わせるなど安倍氏をしのんだ。姉とともに広島県から来た公務員の山本知史さん(61)は「1年経った今もこみ上げるものがある。今日は絶対に行かないといけないと思い駆けつけた。一番大きいのは感謝の気持ち」と静かに語った。新谷和彦・県連会長も献花し、「安倍先生は国のため、国民のためにずっと闘い続けてこられた。なぜあんなことになってしまったのかと今も思い出す。先生の思いを必ず受け継ぐと遺影を見ながら決意した」と述べた。
萩市椿東の松陰神社境内にある宝物殿至誠(しせい)館では8日、安倍氏の追悼展が始まった。安倍氏が揮毫(きごう)した「至誠」の書や、松陰神社を訪れた安倍氏の写真など9点を展示している。9月25日まで。
至誠の墨書は、吉田松陰を顕彰する松陰神社崇敬会が安倍氏に依頼した。「誠を尽くせば必ず通じる」という意味で、中国の儒学思想家の孟子が残した。崇敬会によると、松陰が座右の銘とし、松陰を尊敬する安倍氏も至誠を座右の銘にしていたという。
上田俊成・名誉宮司(82)によると、書は2022年4月に同神社に奉納された。上田名誉宮司は「安倍氏の絶筆ではないかと思い、運命を感じる。高い理想を持ちつつ現実主義で政治を前に進めた。バランスの取れた方で、代わりの政治家はなかなかいない」としのんだ。【大坪菜々美、橋本勝利、小澤優奈、近藤聡司】
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