小林茂樹議員「近くにいたのに救えず、腹立たしさは犯人と自分に」…安倍氏銃撃1年
読売新聞 / 2023年7月8日 17時28分
安倍晋三・元首相が奈良市内で参院選の応援演説中に銃撃され、死亡した事件から8日で1年。安倍氏の一周忌を前に、現場に居合わせた自民党の小林茂樹衆院議員(58)が、読売新聞の取材に応じた。自身が地盤とする地域で起きた事件に深い後悔の念をにじませ、「事件を思わない日はない」と胸の内を明かした。(聞き手・平野和彦)
――改めて事件をどう受け止めているのか。
「いまだに信じられない。妻の昭恵さんをはじめ、ご家族の悲しみを思うと、何と申し上げていいのか……。私は地元の政治家であり、あの演説会にも責任がある。自責の念は持ち続けている」
――当日を振り返ると。
「私は司会進行役だった。元総理はすぐに京都へ向かう予定で、いつもは不審者を気にかけるのに、あの日は『時間通りに』という思いが強く、周囲に気を配れなかった。(銃撃は)発砲音が大きく、花火のようだった。振り返ると、丸い大きな煙が広がっていた。2回目の発砲音は記憶から完全に消えている」
――記録映像を見ると、隣の佐藤啓参院議員(当時、候補者)をかばっている。
「誰が狙われたのか分からなかった。『無差別な乱射となれば、大変なことになる』と、とっさに体が動いた。だが、狙われたのは元総理だった。近くにいたのに、救えなかったという後悔の念は強い。腹立たしさは犯人と自分に向けられている」
――救急車到着までの心境は。
「長く感じた。近くにある自分の車で病院へ連れて行くことも考えた。ただ、それは素人判断だ。関係者はベストの選択をされた。搬送、蘇生措置に一切、不備はないと思う」
――事件後、長蛇の列ができた献花台に、連日のように姿を見せた。
「目に焼き付けなければならないと思った。おばあさんが小さい子どもを連れているのを見ると、『こんな事件があったんだよ。悲しいよね』と伝えているんだろうなと……。事の重大さが重くのしかかった」
――演説会場が適切だったかとの声もあった。
「なぜあの場所にと思われるかもしれないが、誰か個人に責任を持っていくことを恐れている。事件当日に言葉を選び、『関係者で決めた』という説明をしているので、そういう回答とさせていただきたい」
――山上徹也被告の犯行をどう思うか。
「人の命を奪ったという厳然たる事実があり、当然裁かれるべきだ。(被告の犯行が)社会で許容される風潮もあるが、許されることではない。個人的には怒りを持っている」
――事件から1年。安倍氏について思うことを。
「最初にお会いしたのは1997年の靖国神社参拝だった。どこにいても人だかりで、間違いなくリーダーになる方と思った。下を向いて後悔しているだけでは、きっと喜ばれない。私は環境副大臣として、福島県の復興という任務を与えられている。元総理の分も、福島のために働く決意だ」
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