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「戦後日本の骨格作り替えた」安倍政治、再評価の声…現在でも海外首脳の「話題に上る」

読売新聞 / 2023年7月8日 22時15分

 安倍晋三・元首相は、憲政史上最長の8年8か月間、首相の重責を担った。在任中には、内政と外交の両面で日本が直面する重要課題に取り組んだ。8日に一周忌を迎え、政界関係者からは、長期政権で積み上げた実績を改めて評価し、その継承を誓う声が上がった。

アベノミクス

 岸田首相は同日、安倍氏をしのんで開かれた食事会で、「私が今、首相として政権運営にあたれているのも、内政、外交で安倍氏が築かれた基盤があってこそです」と述べた。

 菅前首相も取材に対し、「内政、外交、安全保障にわたり、戦後日本の骨格を作り替えた政治家と言える」と総括した。菅氏は第2次安倍内閣発足後、一貫して官房長官を務め、そばで「安倍政治」を支えた。

 2012年12月に安倍氏は首相に再登板すると、真っ先に傷んだ日本経済の再生に全力を挙げた。当時はリーマン・ショック後の景気低迷が続いていた。金融緩和、財政出動などからなる経済政策「アベノミクス」で、株価の回復など、国内経済の立て直しを図った。

 15年9月には、集団的自衛権の限定的な行使を容認する安全保障関連法を成立させた。北朝鮮の軍事挑発などで安保環境が緊迫度を強める中、日米同盟を強化し、抑止力を高める狙いがあった。野党の猛反発も招いたが、安倍氏のもとで自衛隊トップの統合幕僚長を4年5か月務めた河野克俊氏は、「内閣支持率が落ちることは織り込み済みだった。それでも『絶対に国にとって必要だ』との信念で進めた」と振り返る。

地球儀を俯瞰する外交

 安倍氏は、「地球儀を 俯瞰 ふかんする外交」を掲げて外遊を繰り返し、日本の存在感を高めた。西村経済産業相は、官房副長官として海外出張に同行した経験があり、「長期政権を築く中で、海外の首脳からも一目置かれる存在だった」と証言する。現在でも「海外の首脳に会うと、様々な場で安倍氏のことが話題に上る」(岸田首相)という。海洋進出を強める中国への対抗を念頭に、16年に提唱した「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)構想はその後、国際社会にも浸透した。

 16年11月には、米大統領選で当選直後のトランプ次期大統領と世界の首脳の中で初めて面会した。外務次官などで「安倍外交」を支えた杉山晋輔・前駐米大使は「各国首脳は様子見だったが、『直接話したい。会談を設定できるか』と言われて驚いた」と懐かしむ。

憲法改正「岸田さん…すんなり通るかも」

 悲願の憲法改正にもこだわった。17年5月には「20年の改正憲法施行」を打ち出した。だが、タカ派色の強い安倍氏に反発する野党が国会での改憲議論を拒否し、在任中の実現にはこぎ着けられなかった。安倍氏側近の一人だった自民党の萩生田政調会長は、安倍氏が「(ハト派の)岸田さんなんかが首相になった方が、すんなり通るかもしれない」と語っていたのを覚えている。岸田首相は「憲法改正の思いをしっかりと引き継ぐ」と明言している。

 内政にも外交にも腰を落ち着けて向き合うことを可能にしたのが、自民が政権復帰した12年衆院選から19年参院選までの「国政選6連勝」だった。選挙での強さは、求心力の維持にも直結した。

 12年12月の衆院選に先立ち、同11月には野党・自民党の総裁として党首討論に臨んだ。その相手だった民主党政権の野田佳彦首相には衆院解散・総選挙を迫り、「解散します」との言葉を引き出したことは今でも国民の記憶に残る。現在は立憲民主党所属の野田氏は、「党首討論では、こちらが攻めてもはぐらかすのがうまく、こちらが失敗すると、かさにかかって襲ってくる。手ごわい論敵だった」と語った。

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