1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. IT総合

迷走するNHKの「ネット放送」 資料からひもとく“あるべき姿”とは

ITmedia NEWS / 2023年7月7日 15時8分

 むしろNHKの報道力が本気でネットへ出てくる脅威を肌感覚で敏感に感じているのは、日本新聞協会のほうだろう。第9回の資料として配布された意見書では、

 「現状の『NHK NEWS WEB』は、放送内容を再構成するなどして、コンテンツの内容が放送番組と必ずしも同一とはいえない。また、仮に同一の情報内容であっても、さまざまな機能を加え提供されている」

 と指摘しており、「放送と同一の情報内容の多元提供」によって、現在のテキストベースのニュース配信システム全体が脅かされるとけん制している。

●民間と決定的に違う「NHKの報道体制」

 公共メディアとして、NHKの強みとは何か。これは言うまでもなく、全国47都道府県全てに放送局および支局を設置し、自社社員を送り込んでいる報道体制である。これはハード的には放送というインフラを「広くあまねく」展開するためなわけだが、ソフト面では全国でいつどこで何があっても自社の人間が現場に行って取材できるという強さにつながる。

 職員はだいたい4年ごとに、地方と中央を行ったり来たりして、報道レベルが均等になるよう調整される。もちろん地方にも花形の地域もあれば地味な支局もあるのだが、数年がかりで追いかけるべき大災害があれば、エース級の人材が地方に数年送られる。

 民放や新聞社は、地方とニュースネットワークを組んで全国をカバーするが、地方は地方の報道機関の能力に依存する事になる。NHKと民間のメディアとの決定的な違いが、全国均一のニュースクオリティーである。

 メディア企業が展開を考える場合、1ソースマルチユースを検討するのは当然である。NHKが「放送と同一の情報内容」として、テレビ放送するためのコンテンツをそのままマルチユースするというのは、経済合理性にかなう。

 一方でネットニュースのメリットは、一覧性と検索性である。今日のニュースがサムネイルと見出し一覧でずらりと見られるのは、Webでもスマホアプリでも同じアプローチだ。NHKは報道以外にも多彩なコンテンツを制作しているが、報道に関してはこのような見せ方が理にかなっている。

 一方で検索性については、ググってNHKニュースが出てきた、クリックしたら見られる、という流れでは、公共料金で制作されたコンテンツのフリーライドが起こる。そこをどのようにネットユーザーにも公平負担してもらうかがポイントになる。この点においては、第9回で委員からの質問に応える形で、

CCPA Notice
あなたにオススメ

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング