「そんな子どものオモチャみたいなの、誰が乗るの」
Luup社長の岡井大輝(28)が新時代の交通インフラを担うモビリティとして電動キックボードを提案したときの反応は、大抵冷たいものだった。
省庁や国会議員にデータを見せながら、「公共交通機関で市民の生活を支える前提は崩れる。市民が自力で移動できるインフラを新たに設計しなければ、人口減少社会を乗り越えられない」と力説しても、けんもほろろ。窓口に連絡をしたきり、そこから先に話が進まない。ようやく会えたとしても、「オモチャ」扱いで本気にされない。
「考えてみれば当然なんですよね。決裁者は自転車にも長らく乗っていない世代の方がほとんどでしたし、若くて実績のない僕らが信用されないのは仕方ないよなと」(岡井)
日本各地30カ所で実証実験
岡井が取った策はLuupが描く未来を説明することで主語を広げるというものだった。