“中国の秘密警察” 活動の実態は?
小川彩佳キャスター:
ここからは、取材に当たった萩原豊TBS解説・専門記者室長に加わってもらいます。日本でこのようなことが起きているのか、という生々しい証言でしたね。

萩原豊 TBS解説・専門記者室長
これが中国の秘密警察の活動であるならば、これは重大な問題なんですが、まずは4月にニューヨークで摘発された事件から見ていきます。

チャイナタウンにあるこのビル、1階はラーメン店なんですが、ここに中国の秘密警察署が置かれていた、とされるんです。逮捕された男の1人は、中国の公安部の指示で民主活動家の居場所の特定を手助けして、中国本国からの亡命者を脅迫し、帰国させようとしていた疑いが持たれているんです。
山本恵里伽キャスター:
この中国の秘密警察というのは、どんな活動をしているんですか?

萩原 室長:
国際人権団体によりますと、海外にいる民主活動家や、あるいは少数民族の人々をターゲットにして、監視、嫌がらせ、脅迫をして、圧力をかけ中国に帰国させる活動をしているということなんです。目的は、海外からの中国政府に対する批判を、封じるためというふうにされています。

その数は世界53か国、102か所に上るということなんです。そして先月も、中国の内モンゴル自治区出身の著名な作家が、滞在先のモンゴルで拘束され、中国に連れ戻されていたんです。これも中国の秘密警察による活動の一環だというふうに見られています
小川キャスター:
この秘密警察の日本での活動について、中国はどのような見解なんでしょうか?
萩原 室長:
中国の外務省は私達の質問に対して、このように答えています。

中国外務省 汪文斌 報道官
「強調するが、いわゆる海外警察拠点は全く存在しない。中国は一貫して内政不干渉の原則を堅持している」

萩原 室長:
完全否定なんですけれども、一方で、欧米各国は対応を急いでいます。例えばアメリカは主権に対する明白な侵害だ、というふうに強く非難して、FBIは各国の捜査機関と連携を強めるとしているんですね。イギリスは先週、拠点を閉鎖したと発表しています。

一方、日本はと言いますと、『中国に対して我が国の主権を侵害する活動があれば、断じて認められないと申し入れ実態解明を進めている』としてるんです。今回、大変勇気ある証言をいただきました。これを契機にですね、中国の秘密警察の活動かどうか、実態の解明を急ぐべきですし、日本としては、人権・表現の自由を断固として守るという強いメッセージを打ち出す必要があるというふうに思います。
小川キャスター:
中国との向き合いというのは難しさが伴いますけれども、ここは毅然と対応する必要がありますね。