コインロッカーに生後間もない赤ちゃんを遺棄した罪に問われた母親に対し、大阪地裁は大阪地裁は懲役2年執行猶予4年の有罪判決を言い渡しました。

 判決によりますと、住居不定・元風俗店従業員の谷口成美被告(33)は今年1月に大阪市淀川区の阪急・十三駅近くにあるコインロッカーに、自身が出産した生後間もない女の子の赤ちゃんの遺体をトートバッグに入れて遺棄しました。

 これまでの裁判で谷口被告は「生活で精いっぱいで(赤ちゃんを)育てるのは難しいと思った」と起訴内容を認めていました。

 検察側は「赤ちゃんは抱きかかえられることもなくコインロッカーに閉じ込められていて生命を軽視している」などとして懲役2年を求刑。一方、弁護側は「被告は反省している。今後は、公的な支援を受けながら自立する意思もある。再犯のおそれは少ない」として執行猶予付きの判決を求めていました。

 ▼母親に執行猶予付き判決「被告人は反省し生活立て直すと述べている」

 大阪地裁は7月7日の判決で、「出産後資力もなく頼りにする人もなく、路上で車に隠れてトートバッグに出産した。生きている様子がないと判断し、遺体をコインロッカーに入れ、延長料金を払うなど犯行態様は悪質。コインロッカーの管理会社が荷物を回収し、嬰児の遺体が腐敗したことで発覚したことは、死者に対する敬虔感情や宗教感情が害されたといえる。一方で、被告人は反省し、生活環境を見直すため福祉施設に入所したり、手に職を付けて生活を立て直したりすると述べている」などとして、谷口被告に懲役2年執行猶予4年の有罪判決を言い渡しました。 

 ▼裁判の最後に裁判長「望まぬ妊娠繰り返さぬよう、生活を立て直してください」
 
 判決の言い渡し後に裁判長は谷口被告に次のように話しました。

 (裁判長)「望まない妊娠を繰り返さないように、生活環境を立て直してください。生活を立て直すには相当な努力が必要です。努力を続けてください。また、きちんと弔うべき大切な存在を敬うようにしてください」
 (谷口被告)「はい」

 ▼母親「産んだ時はパニックに」「過去に12回の出産」

 鹿児島から大阪へやってきてホテルを転々としながら風俗店に勤務し生活費を稼いでいた谷口被告。これまでの裁判で妊娠や出産当時の状況について次のように話していました。

(谷口被告)
「相談する人も知人もここにはいなかった」「産んだ時はパニックだった。収入が安定せず、生活することで精いっぱいで育てるのは難しいと思った」

しかし、谷口被告にとって今回の出産が初めてではなかったということです。

【これまでの裁判でのやり取り】
(検察官)「これまでに死産を含む出産は何回くらいしましたか?」
(谷口被告)「過去に12回繰り返しました」
(検察官)「産まれた子は?」
(谷口被告)「施設です」
(検察官)「死産の時は?」
(谷口被告)「病院で処置を受けた」
(検察官)「今回病院にいかなかったのは?」
(谷口被告)「健康保険証が切れていた」

そして亡くなった子どもに対し「罪悪感があります。申し訳ない」と話していました。

 ▼妊娠で迷ったら相談を

  大阪府など各地では思いがけない妊娠など妊娠で悩みを抱える人の相談を受け付ける窓口があります。電話やメールなどで受け付けています。

 大阪府にんしんSOS
 0725-51-7778 
 (月~金) 午前10時~午後4時
 (日曜)  正午~午後6時 *年末年始・祝日は休み

 また、相談はメールやウェブサイトのフォームからでも受け付けています。