勇者軍PV
「あれ?メールが来てる」
現実に戻ってきたらスマホにメールが来ていた。菖蒲さんからだ
『ハチ君にメッセージが使えなかったのでメールで聞きたいんですが、今何処に居ますか?』
「んー?何かあったのかな?」
というかメッセージ機能をオフにしてたのは今はチェルシーさんだけのハズだったし、他の人がメッセージを送れないなんて事は無いと思うけど……もしかしてあの場所はメッセージが使えないのか?それともニャラ様が妨害してるのかな?
『なんかクエスト始まっちゃったみたいで僕も何処に居るかは分かりませんが、何かありましたか?』
『勇者軍と魔王軍のPVが公開されて、盛り上がった人達がポロッとハチさんのPVを公開してしまったらしく、勇者軍の人達がハチさんの事を血眼になって探し回っているらしいです。だからほとぼりが冷めるまで隠れるかあの島に居る方が良いと伝えたかったんですが、その様子だと問題なさそうですね?』
なんか前にもあったぞ?こんな事……
『PVもう出来たんですね?僕もまだ見てないので今から確認します』
折角PVが出来たなら見てみよう。多分勇者軍PVから見れば良いのかな?勇者軍PVと魔王軍PVはスマホでも見られるみたいだ
「再生っと」
真っ白な映像から始まり、ドローンで撮影している様に人が沢山集まっている所を上から映している。これは僕が燃やした街かな?こうしてみると凄い人数居るなぁ……
「やってやろうぜ!」
「「「「「いえー!」」」」」
決起集会じゃないけど、集まってこれから魔王軍と戦うぞって盛り上がってる雰囲気が出ている。その場面からゆっくりと遠くの魔王軍の城にピントを合わせ、急速に魔王城に接近し、一瞬画面が暗転したら眷属達が映ったあと、魔王軍のプレイヤー達が映る。ん?人がちょっと少ないな?あぁー僕達が外の様子を確認しに行った時かな?
「進撃開始!」
また勇者軍の方に画面が戻ったら今度は編成が済んだのか、隊列が整っている。人数自体は減っているけど、大量の人が綺麗に並んでいるのは威圧感があるなぁ
「修復急ぐぞ!突貫工事だ!」
あぁ、こっちは修復部隊か。早回し映像になったけど砦が1日で修復される映像は凄いな?
「前方!敵が施設を占拠している。遠距離部隊!前へ!」
次は防衛施設の戦闘かな?若干バラバラではあるけど杖とか弓とか持った人達が前に出る
「放てェ!」
防御の施設を占領している魔王軍に向かって遠距離戦を仕掛けるシーン。大量の魔法とか飛ぶところは綺麗だなぁ?
「突撃ー!」
防御施設での戦闘。基本的に勇者軍のPVは僕が見ていない場面が多いのかな?
「うぉぉぉぉ!」
近接戦闘が始まりいよいよ戦争らしい戦闘になってきたなぁ?
「はぁ!」
おっ?あれはアイリスさんとロザリーさんだ。遠くにはバイクで走ってるダイコーンさんとかも見える。これやっぱり僕が映らない様にしてないかな?勇者軍PVだし……防衛戦の様子の方が見栄えあるから仕方が無いか
「わぁ!いっぱいいる!全部食べちゃっても良いのかな?」
「出たぞ!奴だ!」
「来やがった!」
「来やがれ化け物!」
と思っていたらマップ画面が出てきて防衛戦をしている場所から別の場所に移動するように場面が切り替わって黒の乙女状態の僕が出てきた。集団対集団の戦闘から単体相手の戦闘に画面が切り替わり、僕に対して戦闘態勢を取っている人達の後ろから映している様に見える
「凄い言われようだなぁ?誰でも良いから掛かっておいでよ?」
指をクイクイとしながら挑発している僕の姿がアップにされ、その背後に軍人、ハスバさんとクロクマコンビ、シスター……そして両手を広げている白ローブの僕が一番後ろの奥に居る。四天王+魔王っぽいように思えるけどそこに居るのは僕とハスバさんだけなんだよなぁ……
そこからダイジェストで僕が倒されるシーンが映る。一暴れして水の球で勇者軍の人と一緒に閉じ込められてやられるシーン、勇者にクロクマの僕が弾き飛ばされたあとに勇者を巻き込んでハスバさんが自爆するシーン、腹を突き刺されて地割れに落ちていくシーン、祈りのポーズを取りながら光に消えていくシーン……客観的に見たのは初めてだけど、これで実は死んでないし、ほぼ一人しか居ないって言われたら嘘だという自信がある
倒された後は魔王城での戦闘シーンになり、トラップに苦戦しながらも先に進んで行き、遂に白ローブの僕と対面
「あ、やっと来ましたか。あまりにも遅いから来ないのかと待ちくたびれてしまいましたよ?」
これ言われたらムカつくなぁ?
そこから王の間での戦闘シーンが流れる。暗いから若干見えにくいが、ランタンの灯りで辛うじて戦闘をしていると分かる
「さようならなんですよ」
あぁ、勇者の首を刎ねるシーンとかは流石に見せられないか
「あんなので終わり?そんな事誰も納得出来ませんよねぇ?」
一度勇者軍が負けて、巨大ゲヘちゃんが現れる最終決戦シーンになる
「私がこの世界を救済するのか、貴方達が救うのか。どちらにしてもこれで終わりです」
皆の背に翼が生え、空を飛んで最後にあの極太レーザーを撃つ。うん、これは普通に勝ったと思うわ
「あー面白かっ……」
カメラが放たれるレーザーの先端部分にあるような構図でゲヘちゃんに急接近。そしてそのまま貫通するように僕が映された。これで最後みたいだな?これは意味深に見えるなぁ?