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えむえむおー! 僕なりの楽しみ方 作者:鴨鹿
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ペーパーウェイト

「よし、3分メイキング!テレレッテテンテンテン!」

 純粋な粘性クリスタルを入手してコンパスを頼りに拠点の木に戻ってきた。拠点にしていた木になっていた蕾が開いて蒼く綺麗な花が咲いていたので、あとで使ってみるとしよう


「ま、何事もチャレンジだ。やってみよう」

 木のお椀を型にして作ってみるか


「まずはただ注ぐだけ……」

 入手(強奪)した純粋な粘性クリスタルを少しだけ使って木のお椀に注ぐ。トゥルンとしてるなぁ?


「それとこれでどうかな?」

 まずは粘性クリスタルを木のお椀にただ入れてみただけの物。そしてもう一つは粘性クリスタルを少量鍋で温めてみた。温める事で少しくらいサラサラになったりするかな?


「ふむふむ……思った通りだ。温めるとサラサラになった。これなら加工もしやすいかも?」

 温めると粘り気が減って少しサラサラになった。型に入れるとかならこっちの方が良さそうだな?


「これが冷めると完成かな?」

 お椀に注いだ粘性クリスタルが冷えて段々固まっていく。温めた方は固まるまでの時間が長いからとりあえず扇いで冷まそう


「おー!綺麗な半球のクリスタルだ。これなら思っている物が作れそうだな?早速試してみるか」

 木のお椀を外から押してみたらカパッと固まった中のクリスタルが出てきた


『スラッグ水晶 を入手しました』


『スラッグ水晶 クリスタルスラッグから取れた粘性クリスタルが固まった物』

 いいねぇ、これ球体の型があれば水晶玉でも作れそうだ


「固まったらもう戻らないんだな?よしよし」

 出来上がった水晶を鍋に入れてみたけど溶けたりはしなかった。一度形を決めてしまえば戻ったりはしないようだ


「温めた方はどうなったかな?」

 クリスタルスラッグから取れた粘液をそのまま乾燥させたらスラッグ水晶になったけど、温めるという一手間を加えた事で何か変化が起こるのか……


『煌水晶 を入手しました』


「こうすいしょう?なんかキラキラしてるな?でも、これはこれで良いかも」

 熱を加えたらただの透明な水晶では無く、ラメが入ったようにキラキラしていた。なんかスーパーボールっぽいかも?


「透明なのも良いけど、キラキラ入りの方が個人的には好きだな。よし!それじゃあ作ってみますか!」

 木を登って花を取りに行く。まずはどんな花なのか取る前に見てみるか


『氷凛華 氷の様に冷たい蒼い華。摘んでしまうとあっという間に萎れてしまう。1日に木の何処かに1つしか華が咲かない』


「滅茶苦茶厄介な華だった……」

 危なかった。何も見ないで華を摘んでいたら無駄にしてしまう所だった


「これだと下手に華を切らないで、粘性クリスタル入りのお椀に華を浸けると良い感じで形になるかな?」

 固まるまでその体勢で待つっていう中々マヌケな事になるけど……


「チャンスは1度きりだけどやってみますか!」

 温めた粘性クリスタルを木の上まで持って行って、華ごと固める。やるべきことを頭の中で纏めてからスピード勝負と行こうじゃないか




「良い感じに温まってるな……それじゃあよーいドン!」

 木の下で温めたお椀入りの粘性クリスタルを片手に、木を駆けあがる。我ながら木を駆けあがるとか中々ヤバい事やってるなぁ?


「これで氷凛華を浸けて……おぉぉぉ?」

 氷凛華をお椀に浸けてみたらなんか急速に固まっている気がする。そうか、氷凛華が冷たいから一気に冷えてるんだな?もうある程度固まってそうだし、華の茎をクリスタルギリギリの部分で切って、上から温めていない粘性クリスタルをかける。これで完全に氷凛華をクリスタルの中に閉じ込めたぞ?




「ちょっとデカいかもしれないけど……まぁ使う分には問題無いんじゃないかな?」

『煌水晶のペーパーウェイト(氷凛華入り) を入手しました』


『煌水晶のペーパーウェイト(氷凛華入り) 煌水晶の中に氷凛華が封入されている手の込んだペーパーウェイト。中の氷凛華が外気に触れる事も、乾く事も無いのでずっと枯れることが無い』


「水晶のお陰で絶対に枯れないみたいな物かな?なら最後に掛けた粘性クリスタルが良かったんだな?」

 とろみがあって表面張力が発生する所まで注いでしまったけど、それのお陰でやすり掛けしなくても平らな面が出来てペーパーウェイトにするなら丁度良い物になったし結果としては良い物が出来たと思う。あとはコレをルクレシアさんにあげよう




「どーも」

「あ、ハチさん。そうだ!前に使った貴方の力ですが……」

「それはまず置いておいて、これ返却します。あとこの冊子、貸出しの番号とか何も振られてなかったですし、ルクレシアさんが自分で作ったって言ってましたから元々は貸出ししてない物ですよね?」

 魔物冊子と冊子に隠す様にペーパーウェイトを貸出しの所に座っていたルクレシアさんに差し出す


「そうですけ、ど……え?」

 魔物冊子を受け取ったルクレシアさんが机の上に乗っているペーパーウェイトにその時気が付いたんだろう。視線が完全にペーパーウェイトに釘付けになっている


「こ、これどうしたんですか!?」

「それは実験がてら作ったんですよ。欲しいですか?」

 ペーパーウェイトを押して、ルクレシアさんの目の前に置く


「この華は……氷凛華!?いったいどうやって作ったんですか!?」

「何処かに作り方が書いてある本でもあるんじゃないですかね?」

「ぐぬぬ……私の記憶ではこんな物が作れるという記録はありません……」

 試した人が居ないんだろう。僕だってこの2つの素材と木を駆けのぼれる力が無ければまず作れない物だし


「本の知識は確かに色々あって良いですけど、あくまで過去の事、もしくはこうあったら良いという空想の未来を残すだけで、現実の未来はその時にならないと分からないですからね。過去に無い知識や考えが僕には有ったってだけの話ですよ。あ、それはあげますから好きに使ってください。今日の要件はそれだけなんで。それじゃ!」

「あ、ちょっと!」

 渡すだけ渡したし、それにもうそろそろ一度ログアウトしないと現実のお腹の方がギリギリだ。ご飯を食べてこよう



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