使い分け
「おぉ、なんか幻想的な森かも」
光る小さな蝶が暗い森の中を飛んでいるので一応森の中でも普通に活動出来そうだ。僕には関係無いけど
「クリスタルスラッグ……どの辺に居るかなぁ?」
辺りを見渡して何らかの痕跡が無いか調べる。あの冊子にはクリスタルスラッグが通った所にはべちゃべちゃになっているか、時間が経つとバラバラに砕けた屑クリスタルが落ちているらしい。まずはそれを探してみよう
「おっ?これは例の屑クリスタルかな?」
森を歩き進めていると地面に屑クリスタルらしき物が落ちていた。これを辿っていけばクリスタルスラッグに出会えそうだ
「なるほど、時間経過で屑クリスタルが出来るってこういう事なんだ」
屑クリスタルを辿っていくと段々べちょべちょの液体が増えてきた。液体の中に屑クリスタルがあったから乾燥するとこのべちゃべちゃがクリスタルになるみたいだ。という事はこの液体は僕が求めている粘性クリスタルに近い物なんじゃ無いかな?
「このオーラがクリスタルスラッグかな?」
オーラの検知範囲内に何かを捉えた。木の幹に何か居る。逃げられるとは思わないけど、確認の為にちょっと走って行ってみよう
「おぉ、綺麗な……ナメクジ」
体がクリスタルで出来ている1m近いナメクジが木の幹にくっ付いていた。一応冊子で絵として見てはいたけど……実際に見てみるとやっぱりデカい。これは普通に攻撃しても良いんだろうか?
「攻撃して割れちゃったら粘性クリスタルって取れるのかな?」
普通に殴るか蹴って倒したとして、砕けてしまったら僕の欲しい粘性クリスタルじゃなくて、ただのクリスタルになりそうだな?
「えっと、クリスタルスラッグの内側に貯めている粘液がより良質な粘性クリスタル……」
冊子を確認してみると、どうやらこのナメクジを一度引っぺがさないといけないみたいだ
「とりあえず木から剥がしてみようかな?」
あのナメクジに攻撃能力があるか分からないけど、まずは木から剥がしてみよう
「うおっ!めっちゃ滑る!」
木から剥がそうとしたけど、このナメクジ滅茶無茶滑る!
「ふんー!ダメだ。ツルッツルで掴み所も無い……」
ローションを全身に纏ってるみたいで全然掴めない。ナメクジ本体もクリスタルボディで触ると硬いから爪を立てる事も出来ない。サイコなガンで撃ち抜いて……効かないか
「あ、そうだ。これなら」
イドを石火の手袋に替える。火を熾すのがこの手袋の一番の使用目的だったけど、これ凄くザラザラして滑り止めの役割もありそうだと思っていた。これならうまく剥がせるかな?
「これ良いぞ!掴める!」
石火の手袋がヌメヌメになってしまうが、何とかナメクジを剥がせそうなのでこのまま行く。しっかりナメクジの内側まで手が届いたから鉄山靠のイメージでナメクジと反対側に力を掛けてみる。ジワジワと力を掛けるより、一瞬に力を掛けた方がナメクジも耐えられないだろう
「おりゃー!」
STRが足りるか心配だったけど、ナメクジが遂に木から外れた
「はぇ~こういう風になってるんだ」
よく見てみるとナメクジの腹部?に液体が貯まっている袋状の物が見えた。ほぼほぼ透明な体だから引っぺがすまで体内の事まで気が付かなかったなぁ
「うーん、でもこれどうやってこの袋を取ろうかな?」
どうにかこのナメクジから粘性クリスタルを得て、さっさとプレゼント作りを始めたい。1体倒す為に全身ヌルヌルにならなければならないとか嫌すぎる。コイツ1体から必要分を貰うには……
「あ、そういえばクリスタルで迷ってたけど、コイツも生き物だよな?なら……」
剥がされないように抵抗したり、移動するって事は生きているって事だ。生物であるのなら……
「【恐怖圧】起動」
【恐怖圧】を発動して、またイドに装備し直す。そしてナメクジの体に対して手を触れると……
「よし!やっぱり思った通り恐怖状態になってくれてるな。これで袋をそのまま頂いていく!」
生物であるのなら僕の【恐怖圧】が何かしら効果を発揮してくれると思ってナメクジに対して使用。恐怖状態ならイドの畏怖奪掌の効果で防具無視が発動。クリスタルボディが防具認定されたみたいで手がそのままナメクジの体内まで入り、【オーガンブレイカー】の効果で臓器破壊力がアップしているからそのまま貰っていく……頭を踏みつけて心臓を抜くいつものやり方から頭を踏まなくても良くなったとなればかなり楽だな?あ、でも【恐怖圧】って相手と自分のMINDを参考にして恐怖状態にするから相手のMINDが高い場合は【恐怖圧】が効きにくい、もしくは効かない可能性もあるのか。そうなるとエゴの問答無用で恐怖状態に出来るのは素晴らしいかも。複数の雑魚相手でも使える【恐怖圧】、単体の強敵相手に使える【戦意奪略】と使い分けが出来る様になったぞ?
『純粋な粘性クリスタル を入手』
混じりっけなしの天然物ですよ奥さん?さっさと持ち帰って早速プレゼント作成に移ろう。ありがとうナメクジ君。この粘性クリスタルは……山賊らしく、頂いていく!