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えむえむおー! 僕なりの楽しみ方 作者:鴨鹿
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野草冊子

「いったい何を考えているのか分かりません……」

「まぁ何を考えているのか分かるより分からない方が楽しいじゃないですか。それよりこの学園周りの森に何か食べられる野草が書かれている図鑑とかあります?」

 アストライト・オブ・メモリーの【採取の目】で見れば食べられる野草かどうかの判断は付くけど、図鑑があればどの辺りに生えているとかの情報が得られるかもしれない。分布情報は結構重要だ


「それなら……この冊子に纏めてありますけど」

「凄い!何でもあるんだなぁ?」

 ペラペラと冊子をめくって見ると、野草の見た目や匂い、どんな所に生えているか、周りにどんな生物が居るか、採取のやり方などが分かりやすく纏められていた


「おぉ!山菜まで載ってる!こりゃあ採りに行かないと……」

 この学園周りの森にはキノコとかタケノコとかも生えてるみたいだ。そういうのはもっと奥に行かないと採れないみたいだけど、野草の情報だけでもかなり良い情報が沢山載っている。この冊子借りたり出来ないかな?


「貴方は何を言ってるんです?ご飯なら学食で出るじゃないですか?態々そんな物を採りに行かなくても……」

「ルクレシアさん。この学園の生徒って寮に住むのが普通ですか?」

「そんな事あたり前じゃないですか。まぁ私はほとんどここに居ますが……」

 本の虫とまでは言わないけど、本が好きそうなルクレシアさんはほとんど寮には居ないみたいだ


「僕、寮に住むの辞めたんですよね」

「へぁ!?」

「森に拠点も構えたんで寝床もあるし、食料もある程度見当は付いていましたが、野草があると料理に彩りが出ますよー」

 ご飯は空島から持ってきたし、森で肉と野草の入手の目途が立った。これでご飯に関しては問題無しだ


「まぁ学食がどんな物かも気になりますけど、自分で作った方が色々試せますし」

「じゃ、じゃあ森に住むつもりなんですか!?」

「つもりも何ももう準備は終わってますから。それに多少危険なくらいが逆に安心出来るかなって」

 周りが危険な方が危険な物同士が干渉して更に外部からの危険がやってくる確率は低くなるかなと思っている。だから僕自身で僕の周りだけを何とか出来れば安全は確保出来るだろう


「本当にどんな思考してるんですか……」

「あ、そうだ。この冊子って借りれません?じっくり読みたいんで」

「私が書いた物なので好きに持って行ってください……情報が多すぎて私にはもう」

「これルクレシアさんが書いた物だったんですね。じゃあ遠慮なく借りていきますね?」

「どうぞ。破損しても複製出来るので返さなくても良いですよ」

「借りた物は返しますよ。それじゃ」

 野草の本も借りられたし、一旦退散しよう。一応ここはルクレシアさんの城の様な場所だし、基本的にはここに居るみたいだからまた明日来よう。今日は授業に出てないし、いきなり悪い事をしたかもしれない。このまま授業に出なかったら禁書に触れる前に退学になってしまうのかも?でもそれは流石にマズイよな……まぁ明日から頑張ろう!今日の残りは野草とか集める時間にしよう




「あの人……本当に何なの?」

 図書館にある本の主人公にも居なかった存在。この図書館に来て他の人の様にただの薄っぺらな強さに関する知識を求めるのでは無く、純粋な興味の世界を見て楽しんでいた。あの人は他の人と違う……と思っていたけど、あまりにも違い過ぎる。どんな生活をしてきたら同室の相手が女の子だったからって理由で森に住むなんて結論に達するんだ。普通に考えて部屋の入れ替えをお願いするのが一番最初にするべき事なのに……


「禁書を狙っている……とはちょっと違うみたいだけど、でも要注意人物なのは間違いない……」

 ハチが野草の情報が纏められた冊子をウキウキ気分で読みながら拠点にした木に戻っているとも知らずに要注意人物認定して、警戒度を高めるルクレシアであった




「おぉ!本当にあった!これは今日天ぷらかなぁ?それともおひたしが良いかな?」

 禁書保管庫の事は一度忘れる。ルクレシアさんがまとめた冊子の情報を頼りにありそうな場所に行ってみたらミツバが生えていた。前に買ったサバイバル知識の本にミツバはアク抜きをしなくても食べられると書いていたから下処理の時間も短くて済む。一応迷わない様に目印の拠点にしている大きい木を逐一確認している。野草を集めて敷地内で迷子になりましたなんてシャレにならないしね?


「採り過ぎないようにしないと」

 根こそぎ全部採っていくのはあまり良い行為とは言えない。また今度採れるように残しておく。流石にそこまでこの学園に残っている事にはならないと思うけどね?


「おぉ!タケノコもあるじゃん!」

 多分だけど時期とか関係ないなこれ?夏場にタケノコとかある訳無いし……


「うん、とりあえず僕1人分あれば良いからこのくらいにしよう。よーし!明日からもっと色々情報収集だ!」

 流石に1日で解決出来る事だとは思ってない。必要な情報や必要な物。今はまだそれを調達する準備時間だ。もちろんルクレシアさんのルート以外にも禁書保管庫に入るルートを完全に諦めた訳じゃ無い。明日は学園内の方を探ってみよう



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