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えむえむおー! 僕なりの楽しみ方 作者:鴨鹿
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フラグ回避

「……で、あるからして」

「ごほっごほっ……すみません。通ります」

 壇上で挨拶してる校長先生みたいな人を横目に体調不良で遅れた風を装って新入生に用意された席の所に向かう


「ごほっごほっ」

 出来るだけ端の席に座り、周りに迷惑を掛けないようにしておく。まぁ体調不良も何も無いんだけどね?


「いやぁすみません、新入生の彼の対応をしていて少々遅れてしまいました」

 おっ?僕の誤魔化しを上手く使って遅れた事に対しての責めを回避したな?


「それでは新入生の皆さんはこれから頑張って学んでください」

 拍手と共に退場していく校長っぽい人が壇上から下がっていったので入学式はもう終わってしまったみたいだ。まぁこれであとは寮に向かうだけ……


「さて、まずは誰から行くべきかな?」

 正直魔戦会を勝ち抜けて禁書保管庫を目指すよりは図書委員とか学年主席とかそっちの方からアプローチを掛けた方が何となく行けそうな気がする。多分だけど、魔戦会、図書委員長、学年主席とアプローチの手段が複数用意されているって事は魔法が使えなくても禁書保管庫に行ける手段が有るはずだ。まぁ警備はそのアプローチに含まれているかと言えば微妙な所だが……


「おっといけない。考え事し過ぎて他の人が居なくなる」

 どこからアプローチを仕掛けるかも重要だけどその前に寮の場所の把握と、どの部屋に誰と相部屋になるかを確認しないといけない。あんまり長く居るつもりも無いから顔合わせが必要かも怪しい所だけど……




「君はあっち、君はこっち、おっ?君はこっちだ」

 人の流れに乗って寮に辿り着いたらあの信奉者の先生(まだ名前聞いてなかったな?)に紙と鍵を渡された。これが僕の部屋か


「えーっと、ここか……ん?ちょっと待て?」

 ドアノブに手を掛けて部屋に入ろうかと思ったけど、その前に【察気術】が部屋の中におかしなものを感じ取った


「これ部屋に入ったら着替え中に突撃する事になるな?というかその前になんで同室の相手が女の子なの?」

 オーラの形、そして動作。これは確実に女の子だ。部屋に入ったら理不尽パンチかキックが飛んで来る可能性が高い。面倒事を避ける為にどうするのが一番か……


「同室になる予定の者でしたが、ネームプレートを見て異性の方と判断しました。異性と同室に暮らすのは私の宗教上の理由で良くない行いとされているので、この部屋はお1人で自由にお使いください。っと、これで良し!」

 手紙を書いて、鍵と一緒にドアの前に置く。宗教上の理由と書けば、拒否する事も出来ないだろう。そもそも会う前にこっちから回避してるから向こうから僕を探そうとでもしない限りこの人と面倒事になる事は無い。因みにネームプレートにはユリエール・フォン・ファステリアスって書いてたけど……まぁどうでも良い事だ


「さて、これで僕も森の住民だなー」

 寮に住まないのなら僕が行くのは学園周りの森の中。夜はある意味慣れ親しんだ自然の中でサバイバル生活。昼は学生として学ぶ時に学園内に戻るって事をやれば問題無いだろう。ちょろっと見た感じ単位制というか好きな授業内容の物を選ぶって感じだったし、何とかなりそうかな?




「おっ?この木とか中々良いなぁ?」

 森の中に数本生えてる大木。その中で一番学園に近い1本に登って枝の間に魔糸を張れば寝床は完成だ。ここでしっかり大量に糸を使えば中々寝やすいある程度反発のあるベッドになるし、寮に泊まれなくても問題無い


「一応野生動物も居るみたいだし、食料問題も大丈夫そうだな?」

 とりあえずここでニャラート様のお使いが終わるまで過ごすとしよう。あ、もしかして女の子と同室にしようとしたのニャラート様か?悪いが思い通りには動いてやらないぞ?


「さて、寝床と食料問題は解決したし、まずはなにより図書館だ」

 禁書保管庫に行く為にもまずは図書館に行ってみなくては……


「図書館デカいなぁ?」

 学園本棟とは別に作られたまさに図書の館。中に1歩踏み込めば3階までぶち抜いたような高さの天井まで届く様な本棚にギッシリと詰まった本がズラァっと並んでいる。いやこれ図書委員とかになったら並び替えの作業とか修繕とか滅茶苦茶しんどいのでは?


「えーっと」

「あ、あの……」

 とりあえずどんな本があるのかザッと見る為にキョロキョロしてたらなんか女の子が近付いてきた


「はい、なんでしょう?」

 あれ?なんかおかしいぞ?


「え、えっと……」

「あの、本を探しているんですが……」

 確か僕が図書館にやって来て本を探してるはずなのに、この感じなんか逆っぽくない?


「本!本をお探しですか!どんな本をお探しでしょうか!」

「うおっ!?」

 ひょっとして好きな物の話題になると止まらなくなるタイプかこの人?


「えっと、鍵の歴史に関するものとか……」

 とりあえず適当に有るか無いか分からない物をチョイスしてみた


「鍵の歴史ですか!中々普通の人には読まれない物ですね!こちらです!」

 最初は気弱そうな眼鏡の女子生徒だと思ったけど、僕が鍵の歴史についての本が読みたいと言ったら急に手を引っ張ってその本がある所まで連れて行かれた


「見習い盗賊でも分かる!鍵マニュアル!です!」

「これってあまり色んな人が見て良いものじゃないんじゃ……」

 自分で言っておいてなんだけど、これは一般人が見て良いものではない気がする。盗賊の人とかに見られたら金庫破りとかの手助けになってしまうのでは?


「貴方は本が好きですか?」

「好きか嫌いかで言えば好き……かな?」

「なら大丈夫です!本好きに悪い人は居ません!」

 その理論はあまり当てにならないんだよなぁ……



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