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えむえむおー! 僕なりの楽しみ方 作者:鴨鹿
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本の在処

「ところでその手足の枷は何とかならないか?学生がそんな物を付けていたらあまり印象が良くないんだが……見た目を変えて良いのなら今だけ変えても良いか?」

「変えられるのなら変えても良いですよ。この学園に相応しくないって事なら変えた方が目立ちにくいでしょうし……」

 流石に学生が奴隷よろしくな枷を付けているのは怪しまれるのは当然と言えば当然だ。どうせこういう所にはお約束の様に意地悪貴族の息子みたいな人が居るだろう。そんな奴に目を付けられたら目的を果たすのに邪魔になるから目立たない様に変えられるのなら変えた方が良いな


「それじゃあ失礼して……」

「おぉ、ブレスレットとアンクレットになった!これなら確かに目立たないかも?」

 手枷と足枷が黒いブレスレットとアンクレットになった。これなら制服の下でも目立たないし、丁度良いな?


「さて、君は一応新入生としてこの学園に入学した事になるが……どの攻撃魔法が得意なんだ?」

「どれが得意って……どれも得意とか言う前に使えないんですよねぇ」

「これはとんでもない奴が来てしまったかもしれない……ここ魔法学園だぞ?」

「ここって攻撃魔法しか扱ってないんでしょうか?」

「扱ってない訳では無いが、メインは攻撃魔法だ。使えないとなるとそれだけでも悪い方に注目されるぞ?」

「悪目立ちは確実にしちゃうか……これは困ったな?」

 攻撃魔法が使えないとこういう時に不便になってしまうのか。目立たずに済ませようと思ったけど、これは確実に避けられない問題。どうすべきか……


「まぁそういう事はその時どうするか考えるとして、1つだけ聞かせてください」

 攻撃魔法が使えない事が問題になるまで一旦その事は忘れよう。それよりもまずはあっちの方が重要だ


「ん?答えられる範囲で頼むぞ?」

「ここって重要な本とか何処に保管してます?」

「まさか、禁書関連か?ニャラート様マジか……」

 ん?そんなにマズイ事なのだろうか?


「一応答えられる範囲で話すとだな?この学校の図書館の奥に、禁書保管庫がある。そこに君が求めている本があると思うが、扉は厳重に閉まっているし、何より禁書保管庫は貴重な本が破損しないように魔法が使えない様になっている。そもそも一般の生徒は禁書保管庫に入る事すら許されていない」

 当然だが、信用度も無い状態でそんな貴重な本が沢山ある場所に学校に入学したての人間が入れる訳が無い。となるとどうやってその禁書保管庫に入るのか……まずはそこから考えなければならない。んー、一般の生徒は?


「一般の生徒は入る事すら出来ないって事は一般じゃない特別な生徒は入れるって事ですか?」

「そこにすぐ気が付くのは良い嗅覚をしているな?良いだろう。禁書保管庫に入れる特別な生徒はまず各学年の主席、あとは図書委員の委員長。そして、これが一番手っ取り早いし、チャンスがあるならここだと思うが、魔戦会の優勝者には学園から褒美が渡される。その時に禁書保管庫への入室権利を貰うのが新入生でもすぐに禁書保管庫に入る事が出来る一番の近道だと思うぞ?まぁ今回は色々問題も起きそうだが……」

「魔戦会?」

 気になる単語が出てきた。何だろう?


「あぁ、すまない。まずその説明をしていなかったな。魔戦会とは要するに生徒同士が魔法を使って戦うトーナメント戦だ。参加者はこの学園の生徒すべてに参加資格がある」

 凄い人数のトーナメント戦になりそうだな……


「……そしてこの魔戦会のルールとして一番重要な部分だ。魔法以外での攻撃は認められていない。あくまで魔法の実力を測る為のものだから攻撃魔法が無いとトーナメントを勝ち上がる事がまず不可能に近い」

「oh……」

 それって詰んでない?


「……禁書保管庫って鍵とか厳重ですか?」

「まさか、鍵破りでもするつもりか?止めておけ。あの鍵はかなり特殊でこじ開けるのは不可能だ」

「ふーむ……そういえばさっき、色々と問題が起きそうって言ってませんでした?」

 魔戦会に参加するのは厳しそうならやった事無いけどピッキングでも試してみようかと思ったが、流石にそんな事は出来ないみたいだ


「あぁ、今回は色んな国の王子や王女が入学していてな?何かしら良からぬ事が起きそうな胸騒ぎがしている。それこそ魔戦会での妨害工作なんかもあるかもしれん」

「……ほうほう?」

 それはつまり仮に自分達にとって勝ってほしくない国の王子や王女と戦うとなった時に支援が貰えるかもしれないと考えられるな?


「そこで、今回の魔戦会に参加しない生徒には怪しい人物を発見したら即座に先生に伝えてもらうために警備を頼もうという話が出ている」

 おっ?これは僕にとっての光明なのでは?


「学年主席、図書委員長、そして魔戦会優勝……」

 ざっと今までに出てきた正規の手段で禁書保管庫に入室出来そうなのはこの3つ。そして新たに出てきた可能性の警備……そして現状の学園の状態。上手く行けば僕にも禁書保管庫に入れるチャンスが巡ってくるかもしれない。だからその時が来るまでは大人しく、一般の生徒に溶け込まないといけない


「お話聞かせてもらってありがとうございます。えっと、これから何処に向かえば良いんでしょうか?」

「まずは入学式を行ってから自分の寮に行くと良い。同室の人と親交でも深めると良いさ」

「なるほど、ところで時間って大丈夫なんですかね?」

「あっ!ヤバい行くぞ!」

 そりゃあこれだけ長話してたら遅れるとしても仕方が無いよなぁ?



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