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えむえむおー! 僕なりの楽しみ方 作者:鴨鹿
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運営の一幕

「いやぁまさかたった一人であそこまで盛り上げるとは」

「ナーフするべきかと思いますが……」

「むしろナーフしたらダメじゃないか?聞いてなかったか?バフが多すぎると扱いきれないって言ってたんだからここでナーフして弱くしたら更に強くなる可能性があるぞ?」

「ナーフしたら強くなるとか意味分からないわね……」

「ノータッチが一番問題無いと思いますよ?彼は確かにとんでもないですけど、あまり他の人とパーティプレイとかをしていないので寄生プレイとかも発生しにくいですし、なによりやるのであれば調整が……」

 アルター内のとある空間でハチの処遇について話し合いが行われていた


「とりあえず【パシュト】の追撃は複数回攻撃でも1回に付き1度にして、ダメージは半分で良いんじゃないか?」

「彼の状態だと1発は呪い装備で追加されますが、【パシュト】がその追加攻撃に追加して4発分になっているのが問題ですね。彼の攻撃に【パシュト】で威力50%追撃、そこに呪い装備の追撃で2.5発分に威力が減れば多少は良くなりそうですね。というかなんで呪い装備を使いこなしているんでしょうか……」

「あんなの普通は使えないぞ?即解呪しないとまともに冒険出来ない代物のはずなのに……」

「なんだかんだ言っても皆ああいうのを待ってたんだろ?マトモじゃない常識を破壊するトリックスターな存在を」

 普通のプレイヤーならこのアルターの地に降り立ったら冒険者ギルドに参加する事でこの世界での生き方という物を学び、先に進む力を身に付けていくという()()()()が存在していた。だが、ハチはそのシナリオを破壊し、自分の力で全く新しい道を進んだ。規格外、想定外、ド変態。言いようは色々あるが、試行錯誤をしながら進んで行く姿を見るのはとても面白い


「まぁそうですね。どうしてもテンプレ装備とか出来てしまって誰を見ても同じに見えるよりは皆違う方が良いですからね」

「誰かに憧れてそういうプレイスタイルになるのは良いが、これが強いからこれを使えってなったら良くないよな」

「まぁアレは憧れ云々で何とかなる事じゃ無い気がするがな?」

「彼、何か格闘技でもやっているのか?」

「あの動きは何かやっていると思うが……ただ動きの幅と言うか使っている格闘技が1つじゃないよな?」

「何かの拳法にカポエイラとかムエタイとかまだまだ他にも使っていると思いますが……」

「使える物は何でも使うって感じで俺は凄い好きだなぁ?」

「魔物相手に素手で挑んでいくのは相当怖いと思うけど、怯まずに突っ込んでいく度胸が凄いですよね?」

「本当は彼がこの世界に降り立ってからの全部をPVにしたい位なんですけどね?」

 会話をしていたらPV担当の奴が入ってきた


「やるなよ?」

「分かってますよ。そんな事やったら僕の首が飛んじゃいますよ」

「お前が抜けたら俺達がPV作らなきゃいけなくなるんだからな?そんな余裕無いんだからぜってー止めろよ?」

「……」

 当然ながら一番重要なのは自分の仕事で、それが増えないように既に仕事を持っている奴がクビにならない事が重要だ


「にしても想定じゃ勇者1人じゃ魔王を倒せないから勇者軍が協力して討伐。そして世界が平和になるハッピーエンドで終わるはずだったんだがな……」

「誰も損しないエンドを創るとか想定外過ぎませんか?」

「イベントを完全に掌握していたからな。彼が運営だったと言われても俺達は間違いだとは言い切れないレベルの完成度だった」

「俺はそこを考慮してもアイツには何もしない事がより世界に面白い変化を与えると思う。確かに【パシュト】は調整しても良いが、称号関係は触らない方向で行こう。せっかく苦労して入手した称号の効果が弱体化するのは誰も幸せにならない」

「称号こそナーフすべきかと思いましたが……」

「これだからナーフ脳は……何でもかんでもナーフすりゃ良いと思ってやがる」

「おぉん!?インフレし過ぎたらすぐにつまらなくなるだろうが!」

「また始まったよ……」

 ゲームの運営において必ず問題になる強化と弱体化の問題。弱いスキルや魔法をもっと使ってもらえる様に強化したり、このスキルや魔法は必須だと言われるような強いスキルは無くても問題ないように弱体化させたり、この調整を失敗すると戦闘バランスが崩壊する。だから基本はAI判断で全プレイヤーの所持スキル、魔法の使用率などを考慮して調整されたりするが、こうなると絶対数の少ない1人2人しか持っていない様なスキルや魔法そして称号の調整はノータッチになってしまう。この辺の調整を運営の人間が話し合って決めたりするのだ


「まぁこうやって話し合ってくれると調整するべき場所が見えてくるから良いんだがな。白熱し過ぎなければだが……」

「インフレし過ぎたら新規が入って来にくいだろうが!」

「ナーフしたら成長を感じられないだろうが!」

「うーん、両方一理あるな?」

 こうやって言い争いで問題点が見えてくるからこの2人にはもっと言い争いをしてもらわないと……


「おめーは脳みそまで筋肉でインフレしてんのか!?」

「そういうおめーはもっと体を鍛えろ筋肉ナーフ野郎!」

 結局こういう事になってしまう。運営のメンバーを纏めるのも楽じゃない


「ちょっと向こうで一服してくる。話が纏まるか、何か起きたら呼んでくれ」

 さっさと離脱して現実世界に戻る


「全く、アイツ大暴れしてんな?とりあえず一旦隔離されたみたいだが……どうせまた何かやってくれんだろうなぁ?ふっ」

 電子タバコを咥えながらも影人の事を思い出し、若干口元が緩む東郷であった



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