富野由悠季が語り尽くす、21世紀の日本人が克服すべき「呪縛」

独占ロングインタビュー【後編】
富野由悠季, 部谷 直亮

日本の戦史を読んでも、こういう指摘ってほとんどない。民間人の書いた戦史には、多少批判的に書いてあるんだけども、軍として大反省をしたという話はない。もちろん軍も意識はしていたから、新型を開発していましたとは部分的に書いてありますが、組織としてきちんと対応した気配はない。

 

いま立ち戻るべき場所

――おっしゃる通りで、日露戦争後の日本軍は、「軍事における知性」でも「技術力」でも世界に伍していくことができなかったですね。ご指摘の通り、結局、日本軍の新型銃の開発は終戦に間に合いませんでしたが、まさに小から大まで、うぬぼれがあったのですね。

富野 うぬぼれというものがあると、現場の兵士の弾1発に至るまで変えられなくなる。そういうことが歴史からは見えてくる。零戦がすごいというのも迷信でしかないですよ。だって、アメリカ軍は零戦を全部ばらして性能をチェックして、半年後には対抗機種を出してきた。その国力を相手にして、それでもまだ零戦にしがみついていたら、そりゃ負けるでしょう。

こういうことが、いまの世の中でもまったくそのまま言えますよね。なおかつ、昔よりもさらに大変なのは、最新技術が昔のように国家に囲われることなく、世界中を覆い尽くしているということです。この状況に対して何ができるのか、この延長線上に何があるのか、と考えるとき、「ドローンの性能を上げる」「スマホの性能を上げる」とか何とかって話では、僕はないような気がするのです。

その時、立ち戻るべきはどこか。それはやっぱり、生きている人間がきちんと衣食住を享受できる暮らしを守るためにはどうすべきか、というところに社会やビジネスの目線を持っていくしかないと僕は思っています。

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