@chablis777
シャブリ

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(寿恵子)万太郎さん 私も 本当に一緒でいいの?(万太郎)そうじゃ。
結婚のお祝いをしようゆうてお招きいただいたがじゃ。
2人で 伺わんと。
教授は こうやって 皆さんをお祝いしてくださるのね。
いや… それが…誰も 招かれたことがないそうじゃ。
えっ?
♪~
ここですね。うん…。
ん?万太郎さん!?
あっ… 何じゃ? こりゃあ!
ちょっと…。えっ!? ホウライシダか?はあ…。
はあ~ ホウライシダはもっと西の方に多うて湿った崖が好きながじゃ!
じゃあ教授が植えたんじゃないんですか?
え~! 教授が好きな植物らあ初めて知ったのう!
ねえ 汚れる…。あっ ソーラスは どうなっちゅうがか?
もう 立って! ちょ…!あ…。
(戸が開く音)
お入りください。あっ すみません! あっ…。
♪~
♪「言葉足らずの愛を 愛を貴方へ」
♪「私は決して今を」
♪「今を憎んではいない」
♪「命ある日々 静かに誰かを 愛した日々」
♪「空が晴れたら 愛を、愛を伝えて」
♪「涙は明日の為 新しい花の種」
♪「空が晴れたら」
♪「逢いに、逢いに来て欲しい」
♪「涙は枯れないわ 明日へと繋がる輪」
うん?あ…。
ありがとう!
わあ!私の! ちょうだい ちょうだい!
(聡子)これ いけません! お客様ですよ!私が先!
私が先でしょ!(聡子)お願い!
(田邊)何を騒いでるんだ?お父様!
ごめんなさい。ごめんなさい。
失礼。 槙野君 こちらへ。はい。
奥様 ちゃんと見ていてくださらないと。
ごめんなさい…。
教授 今日は お招きいただきありがとうございます。
妻の寿恵子と申します。
うん? 西村… 寿恵子さんか?
はい…。ハハッ あなたを知ってるよ!
高藤邸に菓子を持ってきた時私も居合わせた。
あ…。 あなたが持参した菓子を褒め舞踏練習会に あなたを薦めたのも 私だ。
その節は…。ハハ…。
あの高藤雅修のもとを鮮やかに去ったあなたがなぜ 槙野君と ここにいる?
なぜというのは?武家の出とはいえ妾腹の娘である あなたが今を時めく高藤雅修にあれだけの勇気を出せたのは槙野君が いたからなのか?
アハハ…。
つまり 君は相手が どれほどの地位であろうとも奪うものは奪う。
そういうことだな?
いえ… そんなことは…。
ハハハ…。 いや 失敬。
そろそろ始めようか。 ハハ。
おい 始めてくれ!・はい ただいま!
フッ…。(田邊)ハハ。
(田邊)これも うちで取れた。えっ!? あ… そうながですか!
う~ん!おいしい。
寿恵子さんの料理も うまいだろう?ええ。 はい。
失礼いたします。
あ… 紹介しよう。こちら 私の妻の 聡子だ。
聡子と申します。
教授には 大変お世話になっちょります。あ…。
あ… 聡子 私は これから槙野君と大事な話があるんだ。
お前は 寿恵子さんにダンスを教えていただきなさい。
ダンス?ダンスを?寿恵子さん 申し訳ないが 頼めますか?
いえ でも… 私は…。
心構えを話していただくだけで構いません。
聡子を鹿鳴館に同伴したいのだがこれは内気であなたのように堂々と振る舞えませんからね。
あ…。
(聡子)すみません こんな所で…。
ありがとうございます。
あ… ダンス…。
あっ すてきな帯!
歯朶紋ですか?
先生… 旦那様の 気に入りで。
あ…。 そういえば 門柱の所にもシダがありましたよね。
庭にも ございます。まあ… お好きなんですね。
なぜ シダがお好きなんですか?
分かりません…。
ごめんなさい。
あ… いえ…。
あの… フッ うちの人も そうなんです。
フフッ きっと理由もなく お好きなんでしょうね。
フッ。
♪~
もうお子様が2人も いらっしゃるのですね。
それは… 前の奥様の…。
先生は去年の暮れに 奥様を亡くされまして。
そうだったんですか…。
申し訳ありません。 存じ上げず。
いえ。 父が判事なのですけれど先生と政府のお仕事でよくご一緒していて。
お忙しい先生が お一人では何かと ご不便だろうと私が参ることに…。
御茶ノ水の高等女学校を 途中で よして今年の5月に こちらに参りました。
それは…。
でも お子様方も 小さいから聡子様がいらして 喜ばれたでしょう?
はあ… いえ。 私は…。
前の奥様はお美しくて ピアノも たしなまれて英語もお分かりになったそうです。
でも 私は…。
子供たちも私のことは 「母」とは呼んでくれなくて。
あ… 聡子様…。
ごめんなさい お客様に。
先生に 言わないでもらえますか?もちろんです。
こうしていると女学校の友達を思い出します。
私は 学校に行っていないんです。
なので 年の近いお友達が いなくて。
では… あの…。
お友達になっていただけませんか?
あ… ええ! うれしい!
フフフ。フッ。
♪~
やるか?いえ すみません。 わし 下戸ですき。
どうやら 君は 本物のようだ。
どれだけ綿密に計画して採集旅行に出かけたとしても巡り会える者と会えない者がいる。
ああ…。
だが 君が ふびんだ。
えっ… どうしてです?
君は 巡り会うことができる。
だが 決して…自分の手で 発表できない。
既に 植物学雑誌に 意見が来てるよ。
君は 植物学会員でもなければ大学の教員でもない。 学生でもない。
一体 なぜ 君のものを載せるんだとね。
えっ… あれは 私が創刊しましたき。
違うよ。 私が許したんだよ。
はい…。 はい そうですき。
けんど その… 植物の学会ゆうからには植物に 真剣に打ち込んじゅう人間が加わっても おかしゅうないでしょう。
ハッ そんなわけないだろう?
日本で ただ一つの権威ある学会だからね。
素人のClubではないんだよ。
え… いや 素人では…。素人じゃないか。
君は 何の身分もない。 その辺の銭湯でわめいている連中と同じだよ。
彼らが いくら ほえようが国政は 動かんだろう?
では どうしたらえいがでしょうか?
教授 わしは 一体どうしたらえいがでしょうか?
方法は 2つある。
大学予備門に 4年間通いその後 東京大学を受けなさい。
その話やったら…。それが嫌なら 今すぐ留学に行きなさい。
あ… その… 学歴が全てゆうことですか?
はあ…。 ああ。
学歴で 何を はかるがですか?
人の一生には限りがあります。
ほんじゃき 日本中… いや 世界中には数え切れんほどの植物があるゆうにどういて遠回りする時間があるがでしょうか?
教授は おっしゃられました。
At the heart of the matter….
わしは… わしの一生は植物に打ち込むと決めました。
ほかのことに使ってる時間は ありません。
フッ…。 また 岩に穴を開けるのか。
遠回りをするからこそ正しいものに出会えるというのに。君は 若いな。
世間は 単純なんだよ。
学歴さえあればいい。
私なら さっさと やり直すがね。
けんど その間にも 誰か ほかの人らあがどんどん新種を見つけます。
世界中が 進んでいきます。ハハ おかしいなあ。
君は 植物が好きなんだろう?
だったら遠くから 喝采を送ればいいじゃないか。
「嫌だ嫌だ」ばかりではどうしようもないだろう?
では 最後の提案だ。
私のものになりなさい。


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