有機食品の扱いで注目を集めるのは、小売り大手・イオン(千葉市)だ。6月上旬に、有機食品の自社PB「トップバリュ グリーンアイオーガニック」で、2022年の約3倍となる600億円を目指す方針を掲げた。
商品名に「オーガニック」を冠した鹿児島産「知覧茶」のペットボトル飲料や、国産冷凍野菜、干しシイタケ、鶏卵・牛乳など、新商品を投入していく。全国の生産者・委託先と連携し調達する。有機JAS認証取得を目指す生産者の商品も扱う。同社は「有機食品は若い世代を中心に、環境にも優しいイメージが浸透している」と商機を見ている。
ライフコーポレーション(東京都台東区)は、有機食品をはじめ健康志向に応える自社PB「BIO―RAL(ビオラル)」を展開。近年、同名の新業態の出店を加速しており、6月30日にも東京・有明(江東区)に9店舗目が開店した。
東急ストア(東京都目黒区)は、自社の有機商品シリーズ「Organicの約束」を、22年3月から本格的にブランド化した。季節により変動するが、青果物を中心に約160品を展開。有機野菜の産地を訪問する動画を作成するなど、発信にも力を入れる。
国内の有機食品市場は従来、小規模専門店や通販サイトでの扱いが中心だったが、スーパーでの販売が広がり、成長が期待される。農水省によると、22年の市場規模は推定2240億円で、17年比で約20%成長した。20年度の国内有機農業面積は2万5200ヘクタールで全耕地の0・6%とまだ少ないが、近年は増加傾向にある。
日本有機農産物協会の西辻一真代表の話
高価格で富裕層向けのイメージがあった有機食品が、スーパーでの取り扱い拡大で一般化してきた。市場拡大には、スーパーの役割が大きい。環境配慮や健康的なイメージなど、付加価値訴求による適正価格での販売の浸透が必要。産地側にはスマート農業活用などによる供給拡大が期待される。
(菅田一英)