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「宗教虐待」全国の児相把握は6年で65件、氷山の一角か…読売調査

読売新聞 / 2023年7月3日 5時0分

 全国の児童相談所が2017〜22年度に把握した宗教の信仰に関連する虐待は65件だったことが読売新聞の調査でわかった。信者を親に持つ「宗教2世」は22年7月の安倍元首相銃撃事件で注目され、約1000人が宗教活動を強要されたと回答した民間調査もあり、児相が把握できた件数は氷山の一角とみられる。専門家は「周囲が異変に気付ける仕組みが必要」としている。

 読売新聞は今年5〜6月、児相を設置する都道府県や政令市、特別区など全国78自治体に調査を実施。虐待の通告・相談の時期や件数、内訳などを集計した。

 17〜20年度の通告・相談件数は2〜7件だったが、21年度は25件、22年度は24件だった。21年度は宗教2世の実態がテレビ番組で紹介され、22年度は銃撃事件後に宗教2世が国に被害の救済を訴えるなどしたことが増加の要因とみられる。

 内訳(複数回答)は、学校に行かせないなどの「ネグレクト」(育児放棄)が最多の42件。信仰の強制など「心理的虐待」は22件、体をたたくなどの「身体的虐待」は4件だった。

 通告・相談を受けた自治体は28自治体で、半数超の42自治体はゼロだった。東京都、栃木県、宮崎県、大阪市、京都市、名古屋市の6自治体は「宗教関連で抽出できない」などとして「不明」と回答。大阪府は17〜21年度が「不明」で、22年度は0件。堺市は非公表だった。

専門家「子どもは被害言い出しにくい」

 一方、一般社団法人・社会調査支援機構チキラボが昨年9月、宗教2世(3世以降を含む)を対象にインターネット上で行ったアンケートでは、回答した1131人の89%の約1000人が家族から宗教行事への参加を強いられたと答えた。

 宗教団体の2世信者だった神奈川県の30歳代女性は幼い頃、布教活動で戸別訪問する母に同行させられた。布教中は水を飲ませてもらえず真夏には熱中症になった。女性は「親から虐待を受けたが、当時は気付けなかった」と証言する。

 厚生労働省は22年12月、宗教を巡る虐待の対応指針を初めて策定。礼拝の長時間強要など虐待の事例を明示し、虐待に該当する場合は、一時保護などを行うよう児相などに求めた。

 愛知県立大の村田一昭准教授(子ども家庭福祉論)は「子どもは自ら被害を言い出しにくく、周囲の大人が察知することが重要。児相との連絡・調整を担うスクールソーシャルワーカーを学校に常勤配置するなど子どもを見守る体制を強化すべきだ」としている。

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