アメリカが日本に突きつけた2つの要求
そのためアメリカは、日本の土地高騰を抑えるために、「日米構造協議」で次のような要求をしました。
- 土地保有税を引き上げること
- 都心部の農地を宅地並みに課税すること
この要求の意味をざっくり言うと、次のような事です。
日本の固定資産税は、先進国に比べて税率が低いので、土地を保有するときの経費が低くて済む、そのため企業は土地を保有したがる。これを防ぐために土地保有税(固定資産税)を引き上げて、企業が土地を持つメリットを減じさせようということでした。
そして、日本では、農地にかかる税金が著しく低く、都心部の農地も同様に低率の税金となっている。そのため、都心部に農地を持つ人は、なかなか土地を手放さないという状況が生まれていました。ただでさえ、日本は土地が少ない中で、都心部の農地がなかなか開発されないとなると、都心部で使用できる土地が限られる、そのために、必然的に土地の価格が高くなる。都心部の農地を、宅地と同様に課税すれば、農地を手放す人が増え、都心部の土地不足が解消するはず。
アメリカの要求には、そういう狙いがあったのです。アメリカの狙いは、ある意味、日本の積年の課題を言い当てたものでもありました。日本では固定資産税が先進国に比べて低く、特に大地主の固定資産税は相当に低いのです。固定資産税には住居用の狭い土地は本来の税額の6分の1でいいという規定があるのですが、なぜかこれが大地主にも適用されていたのです。
都心部に多くの農地(形ばかりの)が残っているのも、日本の政治にとって長年の懸案事項でもあったからです。農地の税制が優遇されているばかりに、都心部に農地を持つ農家の中には、農業はすでにやめているのに、形ばかり農業を続けているというようなケースが多くあったのです。
しかし都心部の地主の多くは、政権与党の支持母体となっていたので、政権側はなかなか手を付けられずにいたのです。アメリカはそれを見通した上で、日本に土地改革を迫ったわけです。
このアメリカの要求に対し、日本はどう答えたかというと、非常に中途半端な土地改革をしたのです。「本質は変えないが、アメリカの顔は立てた」という施策を行なったのです。
この中途半端な土地改革がバブルの崩壊を招き、その後の長い日本経済低迷期を招くことになるのです。具体的に言うと、土地高騰を防ぐために、日本銀行が融資の「総量規制」というものを行なったのです。銀行が企業に多額の融資をするから土地が高騰するわけだから、銀行が企業に貸すお金を制限しよう、ということです。
固定資産税の改革や、都心部農地の税制改革などには手をつけず、とりあえず、その場しのぎの土地高騰抑制策を行ったのです。その結果、バブルだけがはじけたのです。
このバブル崩壊により、日本は、大不況に見舞われた上、都心部の土地不足の問題や住宅狭小の問題などは改善されませんでした。つまり、「怪我をしただけ」だったのです。「アメリカ政府のごり押しと日本政府の愚策で、日本国民が苦しめられる」という図となったのです。
(メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』2023年7月1日号より一部抜粋。続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)
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