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認知症の義母に「私の金、盗っただろ」と言われモヤッ…実は“意外な真実”があった

女子SPA! / 2023年7月3日 8時45分

 かつてお義母さんに激しくなじられたという女性。憎まれていると思っていたのに、自分の介護はちゃんと伝わっていたのだと知ります。そして、こうした知識を「あの当時、知っていたなら」と感想を漏らすのです。その大切な知識を、私たちは、いま留めました。

◆「幻覚が見える」と言い出したらどうする?

 本書は、認知症の進行を春夏秋冬の1年の季節に見立てて、3組の家族のケースを紹介していきます。そのなかには、いくつもの「なるほど!」や「そうなんだ!」という気づきや驚きが登場します。

 何か「少しヘンだ」と、家族も本人も思いつつ、「病院に足を運ぶのはイヤ、怖い」と拒否する親を、どうやって病院に連れだしたらいいのかといった、診察以前の、しかし実際に困っている人が多いだろう第1歩へのアドバイスにはじまり、認知症が進み、幻覚が見えるようになった家族(患者)を前にしたときの、よりよい対応の仕方などを教えてくれます。

 いずれも机上のそれではなく、実際に役に立つだろう知識ばかり。それを、変わらぬ矢部さんのタッチで進めてくれるので、さらりと読みながら、いつの間にか、将来へのお守りが胸ポケットにどんどん増えていくようです。

◆「不安より安心」を。この本そのものが、安心の一粒に

 なかでも個人的に「なるほど。それは覚えておこう!」と強く思ったのが、「不安より安心」というエピソード。そこでは長谷川先生を「お父さん」と呼んでしまった患者さんに、付き添いの息子さんが、「今日は何月何日?」とお父さんを試すような質問をする様が描かれます。

 実際に自分が家族だったら、普通にやるだろうと想像できますよね。「今日は何日?」「今朝は何を食べた?」「あの人は誰?」etc.。これなら答えられるだろう、きっとトレーニングとしてプラスになるだろうと、よかれと思って投げかける。

 でも、もう答えるのが難しい状態へと進行している相手へのそれは、かえって不安を大きくしているだけ。「答えられない」という“気持ち”は、ご本人も感じ取ります。

 ここで長谷川先生は「不安より安心」をあげてくださいとアドバイスします。たとえばご飯を置く際には、「ご飯だよ」ではなく、「晩ご飯だよ」と添える。

 たったひと言情報を添えるだけで、ご本人にとって、とても大きな安心材料になると。「情報」という名の安心材料を、どんどんプレゼントしてあげてくださいと。とってもステキなアドバイスだと思いませんか?

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