広がる不信感…土石流被災者と行政の“すれ違い”なぜ? 静岡・熱海市
Daiichi-TV(静岡第一テレビ) / 2023年7月3日 17時54分
被災者の間では静岡・熱海市に対する不信感が広がっています。被災者と行政の“すれ違い”はなぜ起きているのでしょうか?
土石流で家族を亡くした田中公一さん73歳。この日、足を運んだのは自宅があった場所です。
(妻を亡くした 田中公一さん)
「ここに来ると災害前を思い出す」「もう妻は戻らない、むなしさを感じながら眺めている」
結婚して35年。妻の路子さんは2年前の土石流に巻き込まれ亡くなりました。
この場所に来るとつらい記憶がよみがえりますが、生まれ育ったふるさとへの愛着もあります。ただ、復興を進める熱海市の対応に不信感を募らせています。
(妻を亡くした 田中公一さん)
「2年たったけれど、この感じ、進まない復興、腹立たしい」
熱海市は当初、ふるさとに戻ることを望む被災者の土地を買い取った後、宅地造成を進め、分譲する方針を示していました。しかし、被災者から「もともと住んでいた場所に戻れなくなるのではないか」という声が上がったことをうけ方針を変更。土地の復旧工事は被災者に行ってもらい、その費用の9割を補助するかたちに見直すことを決めました。そして、6月“復興計画の変更”について被災者らへの説明会を開きましたが…
(被災者)
「信頼関係がない、信頼関係がない中で議論を進めても不信感しかない」
(被災者)
「124世帯みんなに(意見を)聞いたと言うが、10世帯の意見を聞いて方針を決めたのではないか」
方針が二転三転しながら、一部の住民の意見を聞いただけで計画を進めようとする市の姿勢に批判が続出。一部の被災者からは斉藤市長に対し要望書が提出される事態となりました。
(母を亡くした 太田朋晃さん)
「なぜ要望書を渡すのか分かりますか?」「個々に訪ねても聞いてもらえないから、この場で市長に渡します」
土石流で母親を亡くした太田朋晃さんは市の姿勢に怒りをぶつけました。
(母を亡くした 太田朋晃さん)
「2年間何をやっていたのか」「やっと2月に母親が見つかって、自分のことができると思ったら、こんなありさまで申し訳なくて仕方ない」
これに対し先週、斉藤市長は…
(熱海市 斉藤市長)
「要望書については単に回答するだけではなく、直接会って回答を私から伝える、その場でいろいろな意見を聞きたい」
市長自身が被災者に直接会って回答する考えを示しました。また、被災者らの意見を聞いた上で、復興計画を修正する可能性にも言及しました。
土石流で妻を亡くした田中公一さん。熱海市に対し「もっと被災者と丁寧に向き合ってほしい」と訴えます。
(妻を亡くした 田中公一さん)
「被災者も頑張るつもりではいる、結局いつ帰れるのかという思いが強い…自分たちの思いが伝わらない」
復興が進まないもどかしさ…それでも田中さんは、新たな一歩を踏み出そうとしていました。訪れたのは亡くなった妻が眠る墓です。
(妻を亡くした 田中公一さん)
「秋ごろには帰ろうと言って、伊豆山に引っ越そうと問いかけている」
被災後に暮らしている熱海市内の公営住宅から、伊豆山に戻ることを決めたのです。
(妻を亡くした 田中公一さん)
「これが新築している建物です」
「警戒区域」の外に所有する土地に、新しい自宅を建てています。新しい自宅は9月ごろに完成する予定で、田中さんは、伊豆山が再び住民同士のつながりが強い地域に戻ってほしいと願っています。
(妻を亡くした 田中公一さん)
「おばあちゃんが通っても、元気にしていると声をかけてくれる」「中学生や小学生が通った時は、おかえりと声を掛け合う、地域を盛り上げないといけないと思って」
妻を亡くした悲しみと行政への不信感を抱えながらも、田中さんは伊豆山が復興する姿をそばで見守ります。
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