5年前の西日本豪雨を広島県内で経験した学生が、防災の研究を続けている。大分大減災・復興デザイン教育研究センターの岩佐佳哉助教(28)。終戦直後の1945年9月に甚大な被害をもたらした枕崎台風を調べたところ、西日本豪雨の土砂災害と似ていたという。「当時の教訓が生かされていれば、西日本豪雨の被害規模や市民、自治体の認識も変わっていたのでは」と指摘している。
岩佐さんは2018年7月は広島大大学院生で、豪雨当日はアルバイトで広島県東広島市志和町の物流センターにいた。大雨で通行止めが発生し、各地から運ばれてくるはずの荷物が届かない。7日午前1時ごろに送迎バスで同市内に帰宅したが、通過した道は後に土石流で塞がれた。「後から考えると、深夜に移動したことも危険で恐ろしい」
大学院の教育学研究科(現・人間社会科学研究科)で自然地理学を学んでおり、直後から約2カ月間かけて、学生のグループで土石流の発生地を調査した。過去の災害を記した石碑についての報道を目にし、過去の被害の情報が防災に役立つと考えて枕崎台風に関心を広げた。今年3月まで同大大学院で研究し、調査結果をまとめた。
1947~48年に米軍が撮影した航空写真500枚以上から、枕崎台風で発生したとみられる土石流の数を約3年かけて調べた。
谷の中を流れた土石流を、連…