絶景、諏訪湖一望の眺め 登山者から驚きの声 諏訪市の「大見山展望台」 樹木伐採で 【動画付き】
諏訪市と下諏訪町にまたがる大見山(おおみやま)の南峰(諏訪市、1365メートル)にある「大見山展望台」からの眺めを遮っていた樹木を同市が伐採し、諏訪湖や遠くの山々を望む眺望がより広がった。知名度はあまり高くない展望台だが、訪れた登山者らからはその眺めに驚きの声が上がっており、ひそかな「絶景スポット」となっている。
「諏訪湖に吸い込まれそう」。25日、下諏訪町から家族3人で訪れた北沢恵美子さん(50)は展望台からの眺めに感激した。青空の下、諏訪市のヨットハーバーや岡谷市の釜口水門とぐるりと湖一帯が視界に入った。展望台がせり出しているため、空中から眺めている感覚にもなれる。
展望台は足元が網状で下が見えるため「高所恐怖症にはちょっと…」と夫の力さん(50)。それでも「こんなにきれいに見えるなんて」と怖さ以上に眺めに驚いた。息子で中学3年の勇人さん(14)は「(蓼の海公園から)20分ほどで来ることができてちょうどいい運動になった」と景色をスマホで撮影した。
諏訪市によると、地権者の了承を得て、昨年12月~今年3月にかけて眺望の妨げになっていた展望台の左側のカラマツなどを伐採。天気が良ければ、守屋山や中央アルプスをはじめ、富士山までもが一望できるようになった。
展望台は長さ18・5メートル、幅8・6メートルのステンレス製で、約30年前に完成。馬ていのような形で、斜面からせり出して設置されている。蓼の海公園の一部として位置づけられており、駐車場から歩いて20分程度でたどり着ける。
以前も眺望が遮られていた時期があった。地元の登山愛好者らでつくる「諏訪・百名山に登る会」会員の河西邦彦さん(80)=諏訪市=が「展望のない展望台」として動画投稿サイトで紹介されているのを見つけ現地へ。2011年に同会設立25周年事業として樹木の伐採を行った。
当時、JR上諏訪駅から同市大和の旧かんぽの宿を経由する片道約3時間の登山コースも整備したが、同会は数年前に会員の高齢化などで解散。河西さんは「誰かに登山道整備を引き継いでもらえれば…」と気をもむ。
展望台からの眺望がよりワイドになって魅力が増したことに、同会会長だった島田良さん(86)=諏訪市=は「里山は自分たちの身近な山。眺めからこんな場所に住んでいると実感してほしい」と、多くの人の来訪を期待している。