第3話 創作スイッチ

 やる気スイッチは存在しないという話は最近よく聞くもので、作業興奮や側坐核という言葉を伴う説明を借り受けると、ようするに作業を始めるとドーパミンが出てどんどん集中してやる気になっていく、というものだ。

 やり始めればテンションが上がってくる、最初の十五分くらいでスイッチが入る、そういうもの。


 とはいえ創作活動のやる気スイッチはそういう方法ではなかなか入らない。というのも最初のとっかかりが出てこなくて、「いいネタがないのに何を書くんだ」とか「いい構図出てこないよ」とか、そうなって作業が始められない。


 そういうときに私が取る手段は性癖を借りるというもの。


 癖、という意味の性癖であり、オタク的な意味の性的嗜好という意味でもある。


 私は絵を描く時テンションを上げていく端的な方法は胸を描くというもので、近況ノートをのぞいていただけるとお分かりの通り、私の絵は大抵胸がデカく描かれているが、あれがまさに性癖。


 文章に関しても自分の好きなネタを入れる。


 好きなシーン、書きたいシーン、言わせたいセリフ、そういうものをこれから書く話において一つ設置しておき、そこへ向かって書いていく。


 当たり前の方法かもしれないので大勢の方がすでに知っているネタなのかもしれないが、自力でここに到達した自分を褒めたい。


 みんなも見つけよう性へ——創作スイッチ。

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