昭恵夫人に一私人らしからぬカネと力が… 安倍元首相の政治資金「2億4000万円」を“抜け道相続”していた

日刊ゲンダイDIGITAL6/29(木)14:25

昭恵夫人に一私人らしからぬカネと力が… 安倍元首相の政治資金「2億4000万円」を“抜け道相続”していた

安倍元首相の政治団体の代表に就任(安倍昭恵夫人)/(C)日刊ゲンダイ

 どういうつもりなのか。安倍元首相の妻・昭恵夫人が、安倍氏が代表を務めていた政治団体を引き継いでいることが分かった。28日の「しんぶん赤旗」が報じている。

 昭恵夫人は2022年7月8日付で、安倍氏が代表者だった資金管理団体「晋和会」と「自民党山口県第4選挙区支部」の代表に就任。安倍氏が亡くなった当日だ。

 両団体の政治資金収支報告書によると、21年12月末時点で計上された残金は、「晋和会」が約5200万円、「支部」は約1億9200万円。計2億4000万円を超える。

 通常、亡くなった人が残した資産を引き継ぐと相続税がかかるが、政治団体を継承する場合はかからない。昭恵夫人は“抜け道”的に巨額の政治資金を引き継いだことになる。

 しかも、巨額資金の扱いは“ブラックボックス”だ。山口県の選挙管理委員会によると、支部は今年1月末に解散している。残金1億9200万円のうち約2400万円は税金が原資の政党助成金だ。公金が含まれているのに、今年分の収支報告書が未公表なため、支部解散後のカネの行方は確認できない。

 ただ、資金の流れを類推するヒントはある。安倍氏の関連政治団体の一つである「山口政経研究会」は、昨年12月末に解散。その直前、「研究会」に残された政治資金34万円が「晋和会」に寄付されている。「支部」の1億9200万円も、同じように解散前に「晋和会」に寄付された可能性がある。「研究会」や「支部」の政治資金が、「晋和会」という“一つの財布”にまとめられたことが考えられる。

巨額のカネを何に使うのか

 気になるのは、昭恵夫人が政治資金を何に使おうとしているのか、ということだ。総務省によると、「政治資金の使途については、原則として特段の制限はない」(政治資金課)という。ある意味、好き放題使っても罪に問われる可能性は低いというわけだ。

 日刊ゲンダイは過去、安倍氏が代表だった頃の晋和会が政治資金で赤城乳業のアイス「ガリガリ君」や、安倍氏が大好きだったオレンジジュースなどを購入していた実態を報じたが、昭恵夫人も不適切な支出を繰り返す可能性があるのではないか。昭恵夫人の携帯電話を鳴らしたが、応答はなかった。

 政治資金問題に詳しい神戸学院大教授の上脇博之氏は言う。

「一番の問題は、一私人の昭恵夫人が公党の支部代表を引き継いだことです。本来、支部代表の有資格者は公職の候補者です。勝手に支部代表を継承したのであれば、私人の昭恵夫人が政党の看板と政治資金を取得したも同然。私人にもかかわらず、大きな政治力を発揮できる立場になったということです。党本部や昭恵夫人本人は説明を果たすべきです。少なくとも、政党助成金分は国庫に返納すべきでしょう」

 巨額資金を、昭恵夫人が後ろ盾となった“安倍後継”の吉田真次衆院議員の支援に使うのか。それとも、昨年閉店した東京・神田の居酒屋「UZU」の2号店の開店資金にでもするつもりなのか……。早期に説明すべきだろう。

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