東芝は上場廃止へ…一般投資家はババを引き、筆頭株主の外資は850億円の大儲け

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 3月23日、経営の混乱が続く東芝は、日本産業パートナーズ(JIP)を中核とする国内企業連合による買収提案の受け入れを決定した。

 JIPは7月下旬をめどにTOB(株式公開買い付け)を実施する。TOB価格は1株4620円で、買収額は約2兆円。発行済み株式の3分の2以上の応募を成立条件としており、TOBが成立すれば東芝は上場廃止となり、JIP主導で再建をめざすことになる。

 では、東芝の株主はTOBに応募するだろうか。

 TOB価格4620円は、3月23日の終値4213円に比べると9.7%の上乗せ(プレミアム)だが、昨年59件あったTOBのプレミアムの平均は43.0%だった。それらに比べれば、今回の東芝のプレミアムは小さい。足元の業績悪化により、当初の計画よりTOB価格が引き下げられた経緯がある。

 そこで注目されるのが、発行済み株式の3割を保有するアクティビスト(もの言う株主)の動向だが、彼らはTOBに応じるとみられている。かなりの利益を得られるからだ。

 複数の海外のアクティビストが東芝の新たな株主に加わったのは2017年。米国の原発子会社の巨額損失で経営危機に陥った東芝が2年連続の債務超過による上場廃止を回避するため、急きょ6000億円の第三者割当て増資を実施した際に応じた勢力である。あの増資の発行価格は現在の株価換算で1株2628円。当時の東芝の経営状況を考えれば妥当だろうが、今となれば、超安い買い物だった。今回のTOB価格とのサヤは1株1992円、75%もある。ちなみに筆頭株主(9.9%保有)のエフィッシモ・キャピタルは850億円ほどの利益を確保する見込みだ。これなら外資のアクティビストは応じて当然だろう。

 一方、一時の東芝株の高騰につられて購入してしまった一般投資家は切ないだろう。ここ1、2年の買収騒動で、乱高下した東芝株は最高値5938円をつけたこともあった。結局、短期保有で稼ごうとした一般投資家はババを引き、外資が笑うという構図になりそうだ。(丸)

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