めまぐるしく変化するキャッシュレス決済の動向を伝える本連載。今月のキャッシュレス関連のニュースの中から、マネー担当の編集部員やライターが気になったものをピックアップしてお伝えします。記事の最後では、現在開催中のキャッシュレス決済関連キャンペーン情報も掲載していますので、こちらもぜひチェックを!
2023年6月のトップニュースは、「Tポイント」と「Vポイント」の統合によって生まれる「新Vポイント」について。昨年2022年10月の統合発表以降、「どんなポイントになるのか?」「新名称は?」とポイ活ファンを中心に話題となっていましたが、その概要がついに発表されました。今回は、「2つのポイントの統合にどんなメリットあるか?」という観点から、明らかになっている情報をまとめます。
このほか、イオン系の決済サービス「AEON Pay」の2つの仕様変更や、「高島屋ネオバンク」が始めるおトクなコード決済サービスの話題などもご紹介します。
2023年6月13日に名称やロゴが発表された「新Vポイント」。「Tポイント」の名は消えますが、ロゴには青と黄色という「Tポイント」の基調カラーが採用されています(スマホ内の画像は「新Vポイント」公式サイト)
このニュースのサマリー
〇「Vポイント」と「Tポイント」の統合後の名称が「Vポイント」に決定(記事内では「新Vポイント」)
〇「Tポイント」には貯めやすさ向上、「Vポイント」には知名度向上のメリット
〇7月から始まる三井住友カードの最大7%還元にも注目
「Vポイント」と「Tポイント」が統合して生まれる「新Vポイント」。当メディアを含め各種媒体で新名称の発表が報じられるなど、共通ポイントやクレジットカード関連では久々の大きなニュースとなりました。
かく言う筆者(マネー担当N)も、昨年秋の統合発表から新ポイントの動きが気になっていたひとり。と言うのも、2021年の「三井住友カードゴールド(NL)」の発行を期に「Vポイント」を意識的に貯め始めたり、かつては、ツタヤ、ホームズ、ウエルシアなどでせっせと「Tポイント」を貯めていたりと、両ポイントをそれなりに使ってきた経験があるからです。今回は、そんな“一ポイ活ファン”の立場から、統合後の「新Vポイント」について考えてみました。
まずは、「Tポイント」の側から見ていきたいと思います。すでに多くの記事で報じられているとおり、ここ数年、「Tポイント離れ」とも称される「Tポイント」加盟店の離脱が目立っていました。加盟店が減れば、当然、ポイントを「貯めて、使う」機会も減ってしまい、ポイントの価値や存在感にも影響が出てきます。つまり「Tポイント」は、ポイント業界の中でやや下火と見られていたわけです。
特に影響が大きかったと言われているのが、「Yahoo!ショッピング」や「PayPayモール」などのYahoo! JAPAN関連のサービスが、提携ポイントサービスを「Tポイント」から自社の「PayPayポイント」に切り替えたことです。これらのECサイトでは、特定の日に多くポイントが付与される機会もあったのですが、それらもなくなり、「Tポイント」には「貯まりにくい」という評価が定着していきます。
「新Vポイント」では、まずこの点が改善されることが期待されます。これまでどおり、現在15万か所ある「Tポイント」の加盟店で、TカードやモバイルTカードを見せて買い物をすると「新Vポイント」が貯まるほか、三井住友カードで支払うことでも「新Vポイント」が貯まるようになります(もちろん、「Tポイント」の加盟店以外の店舗でも)。
また、「ポイントが使える場所」も拡大します。これまでは「Tポイント」加盟店に限られていましたが、現状の「Vポイント」と同じく、国内750万か所を含め、世界中の約1億のVisaの加盟店で「1ポイント=1円」で支払いに使えるようになり、規模感が一気に拡大します。
「Tポイント」が「新Vポイント」になることで、貯める機会が広がります(画像は三井住友カードのプレスリリースより)
いっぽう、「Vポイント」の側から見た統合のメリットは、「知名度向上」があげられると思います。「Vポイント」はもともと、三井住友カードの利用で貯まっていた「ワールドプレゼント」が2020年に名称変更されたもの。同時に、三井住友銀行の利用で貯まるポイントも、従来の「SMBCポイント」から「Vポイント」に変更され、「SMBCグループ内の共通ポイント」という位置付けが明確になりました。
とは言え、それはポイントを発行する側の事情で、「Vポイント」はユーザーになかなか浸透していかなかったように感じます。その背景には、ポイントとしての歴史の浅さとともに、スマホ決済のキャンペーンなどを活用し、すでに人々の決済シーンに入り込んでいた「PayPayポイント」「楽天ポイント」「dポイント」「Pontaポイント」の存在感の強さなどが考えられます。
筆者も肌感覚で「Vポイント」の弱さを感じており、取材などで出会う専門家やマニアの方をのぞき、「Vポイントを意識的に貯めている」という人に出会う機会はありませんでした。
今回の「Tポイント」との統合には、こうした知名度の低さを補う意味合いもあると伝えられています。SNSの反応などを見ると、2022年10月の両ポイントの統合発表、そして、先日2023年6月13日の新名称の発表で、「Vポイント」の存在を初めて意識した人も多かったようです。知名度向上という点では、すでに一定の効果が出ているようにも思えます。
また、筆者のような既存の「Vポイント」ユーザーにとっては、「新Vポイント」となることで、「ポイント2重取り」というメリットも生まれます。2024年春の「新Vポイント」誕生後は、Tポイントの加盟店にて三井住友カードで支払うと、「Tカード提示分」と「三井住友カード利用分」の両方の「新Vポイント」が付与されるようになるそうです。
「Vポイント」を支払いに使う際に使うスマホ決済アプリの「Vポイントアプリ」
今回の2つのポイントの統合によって、「貯めやすくなる」というメリットをもっとも実感しそうなのは、「これまで『Tポイント』を貯めて、使っていたが、三井住友カードは持っていなかった」という属性の人になると思われます。こうした人たちが新たに三井住友カードを作り、「新Vポイント」を貯めるようになれば、ポイントの流通量や存在感といった面にも大きな影響を与えることでしょう。
とは言え、筆者にも経験がありますが、新しくクレジットカードを作ることには少なからず抵抗がある人もいるはずです。これを乗り越えるだけのわかりやすいメリットを「三井住友カード」が提示できるかが、「新Vポイント」にとっても重要になってくると思われます。
その意味で、2023年7月に控える三井住友カードの「ポイントアップ」の動きは、今まで以上に注目される可能性があります。
現在、三井住友カードはさまざまなポイントアップ施策に力を入れており、その代表的なものが「対象のコンビニ・飲食店で高還元になる」というものです。2021年に始まったこの施策は、もともとセブン-イレブン、ローソン、ファミリーマート、マクドナルドで、対象の三井住友カードのタッチ決済で支払うと最大5%還元されるという内容でした。
その後、コンビニのファミリーマートが対象店から外れたものの、対象チェーンは断続的に増えていき、現在では、15のコンビニ・飲食店チェーンが対象となっています(下記図参照)。また、対象カードも、「三井住友カード(NL)」、「Oliveフレキシブルペイ」などの最近登場したカードはもちろん、三井住友カードが発行する幅広い券種に広がっています。
そして、この施策の還元率は、2023年7月より最大7%にアップすることがすでに発表されています(支払方法によって還元率が異なります)。対象店は限られているとはいえ、最大7%還元はクレジットカードのポイントとしてはなかなか見ない水準です。おそらく2024年春以降もこの施策は続いていくことが予想され、今後、「新Vポイント」を貯めるための目玉施策として注目されていくかもしれません。
三井住友カードが2023年7月1日からポイント還元率を上げる「対象のコンビニ・飲食店で最大7%還元」の対象店(上)と、ポイント還元率の内訳(下)(画像は三井住友カード公式サイトより)
今回取り上げた情報以外にも、「Tポイント加盟店かつ、三井住友カードの最大7%還元対象店」でのポイント還元率はどうなるか?(ジョナサンなどが該当)や、「Tポイント」ユーザーなら知らない人がいない「毎月20日にウエルシアでTポイントを使うと、1.5倍分の価値で買い物ができる」、通称「ウエル活」の行く末など、「新Vポイント」にはまだまだ明らかになっていないことがたくさんあります。
2024年春の「新Vポイント」誕生に向けて、当連載でも定期的にその動きをご紹介していきます。
このニュースのサマリー
〇イオンの決済サービス「AEON Pay」が「チャージ払い」「ポイント充当」機能を追加
〇「チャージ払い」機能でイオンカードユーザー以外も「AEON Pay」での支払いが可能に
〇「ポイント充当」機能で「AEON Pay」上での「WAON POINT」での支払いが簡単に
イオンフィナンシャルサービスは、イオンのコード決済サービス「AEON Pay(イオンペイ)」に、2023年6月14日より新たに「チャージ払い」機能と「ポイント充当」機能を追加しました。
「チャージ払い」は、イオンのアプリ「iAEON(アイイオン)」や、イオンカードのアプリである「イオンウォレット」上で、対象の100行以上の銀行口座(2023年6月時点)をひも付けることで、「AEON Pay」に残高をチャージできる機能です。これまで「AEON Pay」は、イオンカードからのチャージや、イオンカードを登録しての「カード払い」にのみに対応していましたが、「チャージ払い」の搭載によってより多くの人が「AEON Pay」を使えるようになりそうです。
「AEON Pay」チャージ払いの銀行口座ひも付け手順(画像はイオンフィナンシャルサービスのプレスリリースより)
いっぽう、「ポイント充当」は、「AEON Pay」において、「1WAON POINT=1円」としてWAON POINTを支払いに使える機能です。これまで「AEON Pay」で「WAON POINT」を支払いに利用する際は、「AEON Pay」の画面とは別に、「WAON POINT」の画面の提示が必要など少々面倒でした(「iAEON」アプリ上で「AEON Pay」と「WAON POINT」を切り替えて表示するなど)。今後は「AEON Pay」の画面のみで「WAON POINT」での支払いが完結します。
「AEON Pay」は、イオン、イオンモール、マイバスケット、ダイエー、ミニストップなどのイオン系列の店舗での支払いに使えるほか、くら寿司、松屋、ラウンドワンなどイオン系列以外の店舗でも使える場所が順次拡大しています。今回の仕様変更でユーザー拡大となるか注目です。
このニュースのサマリー
〇「高島屋ネオバンクアプリ」が「銀行口座払い」「スゴ積み払い」の2つのバーコード決済サービスを開始
〇「銀行口座払い」は高島屋ネオバンクの口座から利用代金が即時に引き落とされる決済方法、1%のポイント還元もあり
〇「スゴ積み払い」は高島屋の積み立てサービス「スゴ積」の満期金をアプリで決済に利用する機能
住信SBIネット銀行と高島屋は、2023年7月1日より、「高島屋ネオバンクアプリ」のバーコード決済サービス「銀行口座払い」と、「スゴ積み払い」を始めると発表しました。
画像は住信SBIネット銀行のプレスリリースより
「高島屋ネオバンク」は、住信SBIネット銀行のシステムを利用した、高島屋の銀行サービスです。位置付けとしては、「高島屋を利用する客向けの、住信SBIネット銀行の専用支店」となります。取引はPCやスマホアプリで行います。
7月から始まる「銀行口座払い」は、決済時に「高島屋ネオバンク」で開設した銀行口座から、利用代金が即時に引き落とされ、支払いが完了する決済方法です。決済金額の1%分の「タカシマヤネオバンクポイント(タカネオポイント)」が付与されます。このポイントは500ポイント以上から100ポイント単位で交換が可能で、「1ポイント=1円」として「高島屋ネオバンク」の口座に入金されます。
もうひとつの「スゴ積み払い」は、2022年7月に始まった高島屋の積み立てサービス「スゴ積」の決済利用の開始を意味します。「スゴ積」は、1年間「高島屋ネオバンク」で積み立てると、1か月分の積立金額がボーナスとしてもらえ、高島屋での支払いに使えるサービスです。毎月の積立額は、5,000円、10,000円、30,000円、50,000円、100,000円の5つから選べます。
2023年7月より、「スゴ積」の満期を迎える人向けに、「高島屋ネオバンクアプリ」に表示されるバーコードを使って、「スゴ積」で積み立てたお金で支払うことができるようになります。
最後に、現在実施されているキャッシュレス関連のキャンペーンの中から、編集部がチョイスした3つのキャンペーンをご紹介します。
「AEON Pay」のチャージ払いを利用すると、最大1,000 WAON POINTプレゼント、など、おトクなキャンペーン情報をチェック!
「AEON Pay」のチャージ機能の提供開始を記念して、2023年8月20日までおトクなキャンペーンが実施中です。期間中、イオン銀行の口座を新規開設し、イオン銀行から「AEON Pay」へのチャージを利用すると、もれなく1,000WAON POINTが進呈されます。また、イオン銀行の口座を開設しない場合でも、期間中に「AEON Pay」に対象の銀行口座からのチャージまたはイオンカードのクレジットチャージを利用すると、もれなく500WAON POINTが進呈されます。チャージ金額はいずれも3,000円以上が条件です。
実施中~2023年8月20日
https://www.aeon.co.jp/campaign/member/202306-02/
2023年7月より「高島屋ネオバンクアプリ」の「銀行口座払い」機能が開始されることを記念して、通常、決済金額の1%付与される「タカシマヤネオバンクポイント(タカネオポイント)」の還元率が5%にアップするキャンペーンが実施されます。キャンペーン期間は2023年7月1日~30日の1か月で、キャンペーンでのポイント付与上限は5,000ポイントです。
2023年7月1日~30日
https://www.takashimaya.co.jp/neobank/pay/index.html
期間中、アディダスのオンラインショップまたは直営店で、日本で発行されたVisaカードを利用して買い物すると、最大15%OFFとなるキャンペーンを実施中です。オンラインショップと直営店では、キャンペーン内容がやや異なります。
アディダスオンラインショップの場合は、会員プログラムの「adiClub」にログインのうえ、決済時にカート内の「クーポンコードを使用」欄に「CAWCGJ7CVW3W」を入力し、「クーポン適用」をクリック。こうすることで、15%のディスカウントが適用され、そのままVisaカードで支払うと完了です。こちらは期間中何度でも利用可能とのこと。
アディダス直営店では1万円以上の買い物をする際、「adiClub」デジタル会員IDおよびバーコードを提示してVisaカードで支払うと、8月下旬頃に1,500円クーポンがメールで送られてきます。期間中に配布されるクーポンは1回のみです。
実施中~8月20日
https://www.visa.co.jp/about-visa/promotions/visapromo23june-6.html
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