今回のゲストは 女性としては16年ぶりに
厚生労働省の事務次官に抜擢された 村木厚子さん。
村木さんといえば・・・
やはり思い出すのは、2009年の郵便不正事件。
「偽の証明書の作成に関与した」 として逮捕されたましたが
約5ヵ月間の勾留の後、無罪が確定し、厚労省に復職していました。
そしてこの7月、事務方のトップに大抜擢というニュース!
『 驚きました。正直 後ずさりしたい気持ちでした・・』 という村木さん。
しかし、これまで後輩たちにも「昇進のオファーがあったら絶対受けなさい」
と進言してきた手前、引き受けることにしたそうです。
これまでメディアの取材(特にテレビ)は避けてきた村木さん。
深い理由や信念があるのか、と思いましたが
『普通に通勤したり、スーパーに買い物に行けなくなるのが嫌でね。』
と、微笑みます。
役人=硬いイメージを持っている方も多いと思いますが、
村木さんは、とても物腰も柔らかく、 朗らかで、笑顔が印象的。
周囲の皆が思わず付いていきたくなる、そんなパワーを秘めた方です。
何よりも「本」が大好き、という村木さん。
164日の勾留期間中にも、約150冊の本を読了しました。
小説・エッセイ・児童文学など、差し入れてもらった本に
夢中になれたことが、精神の安定剤になったと言います。
『 本に救われた。その存在はとても大きかった。』 (村木さん)
約150冊の本の中から、今回お薦めしてくださった本が、こちら。
《 花さき山 》 斎藤隆介・作 滝平二郎・絵
児童書の世界ではロングセラーになっている 絵本。
主人公の少女、あやは山道で迷ってしまい、ヤマンバと出会います。
そして、こんなことを教えてもらうのです。
「 優しいことをひとつすると、ひとつ花が咲く。
誰かの為に何かをすると、遠くの山に花が咲いて花さき山になる。」
自分のことより人のことを思って、涙をためて辛抱すると
その優しさは、花となって咲く・・
しかし、人を思いやること、辛抱することは
決して見返りを求めることや、自己犠牲を払うことではありません。
心の中に、美しい一輪の花を咲かせる、ただそれだけのこと。
簡単なようで、実はとても深いお話。
大人が読んでも胸を打つ、そんな絵本です。
社会の中で生きていくことは、人との交わりの中で生きること。
自分の中の一輪の花は、誰かが咲かせてくれたもの、
そして私も、誰かの心の中に花を咲かせながら、生きているのです。
勾留中、知り合いからの手紙に返事が書けなくて悩んでいたとき、
「どんな立場にあっても、人は小さくてもできることがある・・」
それに気づかせてくれたのが、この絵本だったといいます。
「私は元気だよ。」
そんな手紙の返事が、誰かを安心させることにつながるのだと。
人は人生の中で、一瞬にして助けてもらわねばならない立場に
陥ることもある。 自分ができないときは遠慮なく助けてもらい、
自分ができる得意なことは、誰かのためにしてあげる・・・
共生社会の中での、原点ともいえる考え方を改めて実感したそうです。
今回の事件のこと、そして勾留中に読んだ本についても
詳しく書かれた本が こちらです。
いつでも後に続く後輩のことを慮り、様々な言葉を発信している 村木さん。
『 あきらめない 』 という その言葉に
村木さんの全てのメッセージがつまっているような気がします。