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陸上自衛隊レンジャー訓練の実態 疲労困ぱいの隊員が小銃持ったまま行方不明も「よくあること」

東スポWEB / 2023年6月29日 11時21分

陸上自衛隊では厳しい訓練が行われている(写真は陸上自衛隊朝霞駐屯地)

陸上自衛隊の20代男性陸士長がレンジャー訓練中に小銃を持ったまま行方不明になっていた件で28日、同陸士長は無事に発見された。疲労しており、「道に迷ってはぐれた」と話している。先日、岐阜市で自衛官候補生による小銃乱射事件があったばかりだけに付近は一時騒然となったが、レンジャー訓練を経験した元陸上自衛隊員は「よくあることで大騒ぎすることではありません」と指摘した。

行方不明となったのは27日午後10時過ぎのこと。北海道札幌市の北海道大演習場西岡地区でのレンジャー訓練中だった。敵の陣地を偵察する訓練でほかの隊員とはぐれていたという。

発見されたのは28日午前11時半ごろ。男性陸士長は約2キロ離れた演習場の外におり、疲労しているものの命に別条はないという。男性陸士長は小銃を持っていたが、実弾はなかった。それでも岐阜市で自衛官候補生が訓練中に自動小銃を乱射し、3人が死傷する事件が起きたばかりだけに、周辺の学校に注意喚起が行われるなどして騒然となった。

本当にはぐれただけなのか。岐阜の事件に触発されての行動ではないと言い切れるのか。元陸上自衛隊員は「レンジャー訓練中に誰かが行方不明になることはよくあることです。私が訓練していた時も行方不明者が出て、みんなで捜し回りました。岐阜の件があったから今回はニュースになったのでしょう」と指摘した。

男性陸士長は敵の陣地を偵察する訓練をしていたというが、どういうものか。「戦闘を想定する訓練があり、『想定』と呼んでいました。偵察はレコンと言っていました。教官らの陣地を訓練生だけで作戦を立てて奪取するんですね。今の訓練と多少の違いはあるでしょうが私の時は想定は複数回行い、だんだんと時間が延びて、最後は8夜9日の訓練でした。8泊でなく“夜”なのは寝ないからです」(同)

想定訓練中は不眠不休で食事もあまり取らなかったという。「必ずバディがいて2人一組で行動します。フル装備をするのですが、本人の体重と荷物で合わせて130キロを超えないといけなくて、足りない場合はブロックを荷物に入れられていました。小銃は空砲でした」(同)

夜は敵に見つかるため電気をつけない。複数人で移動していても靴ひもを結んで顔を上げたら、迷子になっていたということもあったという。「そういう時はほかの隊員が気付くべきですが、あまりの疲労でみんな注意力が落ち、置いて行ってしまうことはあり得る。目を閉じたら即寝てしまうくらいの疲労で、幻覚が見えたという同僚も多い。私も当時は小学生くらいの女の子が見えていました」(同)

行方不明となったことでニュースにまでなってしまったが、男性陸士長にとってマイナス評価になるのか。「訓練から脱落したわけではないので、これから最後まで訓練を終えればレンジャー徽章はもらえると思いますよ。ただ、私の時代だったら連帯責任でバディと一緒に山ほど腕立て伏せやスクワットをやらされているかもしれませんね」(同)

無事で何よりだ。

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