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陸自性暴力、元隊員が口止め「誰にも言うな」 初公判で検察側

毎日新聞 / 2023年6月29日 21時11分

初公判が開かれる福島地裁に入る五ノ井里奈さん(左)=福島市で2023年6月29日午後0時53分、肥沼直寛撮影

 陸上自衛隊郡山駐屯地(福島県)に所属していた元自衛官、五ノ井里奈さん(23)が複数の男性隊員から性暴力を受けたとされる事件で、強制わいせつ罪に問われた元隊員の3被告の初公判が29日、福島地裁(三浦隆昭裁判長)で開かれた。当時3等陸曹だった渋谷修太郎(30)、関根亮斗(29)、木目沢佑輔(29)の3被告は「わいせつ行為に当たらない」と起訴内容の一部を否認し、無罪を主張した。

 起訴状によると、3被告は2021年8月3日夜、北海道の演習場で、格闘技の技でベッドにあおむけに押し倒した五ノ井さんに覆いかぶさり足を開かせ、衣服を着た状態で自分の下半身を五ノ井さんの下半身に接触させたなどとされる。

 3被告は格闘技の技で押し倒したことなどは認めた上で、「腰を振ったのは事実だが、笑いを取るためにやった。下半身を接触させてはいない」「腰を振るなどの行為はしていない」「下半身の接触などはなかった」などと主張した。

 検察側は冒頭陳述で、部屋にいた10人あまりの隊員の中で五ノ井さんは最も階級が低い2人のうちの1人で、女性隊員は1人だけだったと指摘。行為の後に渋谷被告が五ノ井さんに「これ誰にも言わないでね」と口止めしていたとした。

 3被告は22年10月に五ノ井さんに直接謝罪していた。被害者参加人として出廷した五ノ井さんは黒いスーツ姿で、硬い表情のまま、わいせつ行為を否定する3被告と向き合った。

 検察側の証人尋問で当時の心境を聞かれると、時折言葉を詰まらせながら「何も考えられず頭が追いつかなかった。周りからは上司らの笑い声が聞こえた」と証言。「日常的に抱きつかれシャツの上から胸を触られるなど3人からセクハラを受けていた」と答えた。

 閉廷後、五ノ井さんはツイッターで「私は加害者3名の目の前で、あった事実を証言しました。自分の命を削ってでも最後まで諦めず頑張ります」と投稿した。

 五ノ井さんは22年6月に退職後、性暴力について動画投稿サイトを使って実名で告発。福島地検は検察審査会の不起訴不当の議決を受けて、23年3月に強制わいせつ罪で3被告を在宅起訴した。防衛省は22年12月に3被告を含む5人を懲戒免職処分にしており、五ノ井さんはこの5人と国に損害賠償を求めて横浜地裁に提訴している。【岩間理紀、松本ゆう雅】

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