鴨川市は、遊休施設となっている19施設のうち、旧・太海フラワー磯釣りセンター、旧・大山保育園、旧・東条保育園、旧・江見小学校、旧・江見幼稚園、旧・市民会館、市営芝浜プールについて利活用に向けた取り組みを推進している。旧・磯釣りセンターについては、地権者をはじめとする地域住民から民間企業などの誘致による活用を求める声があるため、既存施設の解体を前提に地域と連携しながら跡地活用を検討していく。また、旧・大山保育園と旧・東条保育園に関しては、売却先を決定するための公募手続きを早ければ年度内に開始する。
旧・磯釣りセンターは、太海浜67の南房総国定公園内に所在。敷地面積約2万600㎡のうち、約1万8700㎡が民間からの借地となっている。経年劣化による老朽化や自然災害による度重なる被害などにより、2018年12月31日をもって閉園した。
解体の対象は、RC造3階建て、延べ床面積約1360㎡のセントラルハウスのほか、釣り堀、温室、花壇など。解体設計は、榎本建築設計事務所が24年1月31日までの納期で担当している。24年度当初予算に解体工事費を確保できれば、同年度第1四半期に一般競争入札で工事発注する想定。
旧・大山保育園と旧・東条保育園については、現状有姿での売却に向けた準備を進めている。
旧・大山保育園は古畑319―1に所在。敷地面積は1742㎡。園舎は、RC造平屋、床面積380㎡、1972年度の建築。大山保育園は、大山地区、主基地区、吉尾地区の幼稚園・保育園の統廃合による長狭こども園(現・長狭認定こども園)」の開園に伴い、2011年3月31日をもって閉園した。
旧・東条保育園は広場1304―2に位置している。敷地面積は2918・75㎡。園舎はRC造平屋、床面積702㎡、1979年度の建築。近隣に民営の認定こども園が開園したことを受け、2019年3月31日に閉園した。
江見小学校跡地においては、2月策定の公民館等再編方針に基づき、江見地区の中核となる新たな公民館施設を中心とした複合施設を建設する。具体的には、江見出張所との複合化を予定し、延べ床面積1000㎡以内を見込んでいる。
6月補正予算案に、(仮称)江見公民館基本設計委託料1188万円、解体設計委託料779万6000円、測量委託料233万2000円、地質調査委託料394万9000円を計上。議決後、早期に指名競争入札で委託する予定。実施設計と工事は、24年度以降に順次、進めていく。
旧・江見小学校は、東江見308にあり、敷地面積6997・23㎡。建物は、RC造3階建て、延べ床面積1838・2㎡、1971年度の建築。児童数の減少に伴い、曽呂小学校、太海小学校と統合して新たな「江見小学校」となり、2015年3月31日をもって閉校した。
旧・江見幼稚園は、旧・江見小学校に隣接している。敷地面積は1239㎡。園舎は、木造平屋、床面積249㎡、89年度の建築。江見幼稚園は、江見地区、太海地区、曽呂地区の幼稚園・保育園の統廃合による「江見こども園(現・江見認定こども園)」の開園に伴い、15年3月31日をもって閉園した。
将来的な解体を検討しており、地元から消防団詰め所などとしての跡地活用が要望されている。
市民会館や市営芝浜プールの跡地を含む前原横渚海岸周辺地域の将来像を定めるため、「海辺のグランドデザイン」を8月に策定する予定。7月には案に対するパブリックコメントを開始する。素案においては、多目的スペース、多目的ホール・会議室、屋内娯楽施設、温浴施設、津波の一次避難機能を備えた駐車場、潮さい公園のリニューアル、海の見える飲食施設、シャワー・ジャグジーなどを備えたマリンステーションなどを整備する方向性を打ち出した。
旧・市民会館は横渚808―33の市有地3356・81㎡に所在。建物はS造平屋一部2階建て、延べ床面積2244・1㎡。1969年に民間のボウリング場として建設された後、市が取得。77年8月に市民会館として開設したが、老朽化や耐震性の不足を理由として廃止に至った。
6月補正予算案には、解体事業に2024年度までを期間とする限度額5698万4000円の債務負担行為を定めているほか、23年度分の工事費9887万2000円を計上。また、工事監理業務委託料235万9000円を措置している。7月下旬にも国庫補助金の交付を受けた後、9月議会案件として一般競争入札で工事発注。11月から24年5月にかけて施工する見込み。
市営芝浜プールは旧・市民会館と鴨川潮さい公園に隣接する横渚808―54にあり、老朽化により15年度から営業を休止している。土地は国からの借地。敷地面積は、鴨川潮さい公園の児童公園と合わせて5088㎡。
跡地については、将来的に「海辺のグランドデザイン」に基づく活用を図っていくが、当面は鴨川潮さい公園と一体での活用を図ることとし、24年度以降に芝生広場整備の設計、工事を進める。
6月補正予算案に解体工事費4906万円と工事監理業務委託料169万4000円を措置した。解体の対象は、CB造平屋、01年度建築の建物3棟(床面積38・04㎡の更衣室、床面積13・71㎡の機械室、床面積11・43㎡の管理室)、25mプール(434㎡)、児童用プール(117㎡)など。
16日の6月定例議会一般質問で、長谷川孝夫市長は福岡梓議員(無所属)による質問に応じ、遊休施設の利活用について「さまざまな課題を解決していく必要があることに加え、耐震性の不足や老朽化が問題となっている施設もある。解体も視野に入れながら、利用しやすい環境を整え、今後の推進に努めていきたい」と述べた。